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VR・AR技術が医師を助ける時代のデモンストレーション - VR Inside

VR・AR技術が医師を助ける時代のデモンストレーション

     

HoloLensで医師を支援

VR技術は、VRゲームだけでなく新入社員のトレーニングやキッチン・リフォームの構想などに利用されている。VR体験はまるで本当にその体験をしているかのように感じられるリアルさが特徴なので、本番さながらのトレーニングや商品の試用に適しているのだ。

一方で、ARは現実の場面を見たままで追加の情報を視界に入れることができる。この特徴は、医師やエンジニアのような専門的な知識を必要とする職業のユーザを現場で助けることに向いている。

ボルチモアのメリーランド大学とメリーランド大学カレッジパーク校は、医療の現場における最新技術の活用に関する共同研究を行っている。彼らを含む医療の専門家たちは、3月27日にワシントンDCのニュージアムで行われた小規模なイベントにARやVRの最新技術を展示した。

患者の情報をARで表示

ARヘッドセットを付けて超音波検査を行う

このイベントには、メリーランド大学大学医学部(UMSOM)の医学部助教授Sarah Murthiと、R・アダムス・カウリーショック・トラウマセンターの外科医が参加した。彼らはAR技術を活用した未来の超音波検査の様子を実演して来場者に見せた。

Murthiは、ボランティアで患者役を買って出たEric Leeの助けを得て、ARヘッドセットを使ったこのデモンストレーションを実現した。Leeはカレッジパークにある研究施設UMIACSのコンピュータプログラマーだ。

ARヘッドセットを使えば、医師は超音波を使ったエコー画像やその他の情報と患者の姿を一度に見ることができる。画面を見つめるのではなく、患者の様子を見ながら情報を確認できる意義は大きい。

エコー検査は手軽かつ効果的なので、現在の病院でも頻繁に行われる検査だ。この技術はすぐにでも実用化される可能性がある。

Murthiはその有用性を説明する。

「最終的には、全ての医療スタッフがこういったデバイスを着用して治療に当たることになるのではないでしょうか。そうなれば、誰でも検査の画像を確認できるようになります。今の技術では部屋にいるスタッフみんなで一つの画面を覗き込むことになりますが、AR技術を使えば検査結果をチェックしながらやるべき作業を続けることができます」

彼女はもう一つの利点についても付け加えた。それは、患者に関する重要な情報が常に見えているという点だ。

検査結果をよく確かめるために画面を見ているうちに患者の容態が急変してしまう、といった事態を避けることができる。

普段から患者の様子に注意していれば回避できることではあるが、緊急時にはそうも言っていられない。AR技術を利用して医師や医療スタッフを支援することで、患者を救うことにも繋がるかもしれないのだ。

難しい気管挿管をサポート

Murthiに続いて、同じUMSOMの准教授Caron Hongとショック・トラウマセンターの麻酔科医は気管への挿管をデモンストレーションした。こちらは患者役として練習用に使われるマネキンを使用している。

来場者はHongとヘッドセットの助けを借りて、医療用マネキンの口から気管へと気管内チューブを挿管した。気管挿管は、患者の呼吸を確保するために行われる一般的な処置だ。

一般的な処置でありながらも難易度は高く、一人前に行えるようになるためにはかなりの練習を必要とする。それゆえに練習に使われるマネキンまであるのだ。

マネキン相手とはいえ、来場者がそれを実行できたのはテクノロジーの助けによるところが大きい。

MurthiもHongも、ARとVRの教育的価値の高さを強調した。こうした技術はデータの配信や繰り返しの再生が可能であり、世界中で利用できる。Murthiは以下のように述べている。

「こうした技術が作り出すバーチャルな世界は、リアルタイムに何千人もの人へ向けて配信することができます。その人たちは、バーチャルでの体験を通して多くの気付きを得られるでしょう」

VR手術室

医療を学ぶためにバーチャルを活用する

手術の手順を確認するために、あるいは臓器や骨格について学ぶためにVRを活用するアプリケーションは既にいくつか作成されている。それだけでなく、一流病院の手術室での様子をVRカメラで撮影して学習に用いることを検討している研究者もいるという。

ショック・トラウマセンターのような病院の手術室を知ることは、地方の医師や研修医にとって貴重な経験となるだろう。また、一般の市民が見ることで医師の仕事について知ることもできると考えられているようだ。

Murthiは、将来的にはARとVRを組み合わせた医療技術が戦場で負傷兵を救うことにも繋がるかもしれないという。遠隔地の専門知識を持つ医師が現場のスタッフを支援することで、全体的な知識と技術の向上が期待できる。

ここでデモンストレーションに使われた機器は既に存在しており、未来を待たなくても実用化できる技術ばかりだ。こうした技術によって救われる患者も増えていくに違いない。

 

参照元サイト名:UMB News
URL:http://www.umaryland.edu/news/archived-news/march-2017/newspressreleaseshottopics/augmenting-reality-in-the-operating-room.php

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。