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『Lone Echo』ではプレイヤーキャラクターの腕がリアルに描かれる - VR Inside

『Lone Echo』ではプレイヤーキャラクターの腕がリアルに描かれる

     

腕も描かれたLone Echoの画面

Lone Echoでは、手だけでなく腕も表示される

昨年の12月にはOculusがハンドトラッキングコントローラーのOculus Touchを発売し、HTC ViveOculus Riftの2大ハイエンドヘッドセットがいずれもハンドトラッキングに対応した。

既に手を使って操作できるVRゲームは多数開発されているが、その中にはプレイヤーキャラクターの「腕」ではなく「手」のみが表示されているものも多い。

『Lone Echo』には腕の動きを推測するアルゴリズムが搭載されており、プレイヤーの実際の動きに近い形で腕や指の動きまで描写している。

手と腕の違い

手のトラッキング

VRアプリでは、手の位置をトラッキングしてVRオブジェクトの操作に使う方法が一般化している。オブジェクトを掴むときも、握った武器を振り回すときも、自分が動かした通りにキャラクターが動いてくれる。

現在販売されているハンドトラッキングコントローラーを使えば、プレイヤーの手の位置をトラッキングしてVRに反映することは可能だ。さらにコントローラーのボタンを使えば、プレイヤーが手を握っているのか、開いているのかといった操作も制御できる。

Valveの開発するKnucklesコントローラーならば、ボタンを押すのではなくタッチセンサーを使うことでリアルにハンドジェスチャーを再現できるようになるだろう。

腕のトラッキング

手のトラッキングがハンドトラッキングコントローラーを使うことで可能になっているのと異なり、現在一般に販売されているデバイスで腕をトラッキングするのは難しい。

腕のトラッキング専用に作られたコントローラーは存在していないため、腕の位置は手の動きから推測することしかできない。Vive Trackerを肘に取り付ければ精度はかなり高められそうだが、ハードウェアへの追加投資が必要になってしまう。

手の位置や向きからある程度の正確さで腕の動きを推測することは可能だ。しかし、プレイヤーの動作とキャラクターの動作にズレが生じてしまうことも考えられる。

ズレが大きくなれば、画面上の腕を自分の腕だと感じにくくなってしまうだろう。

腕を省略する

腕の違和感によってVRへの没入感が失われるのを避ける方法の一つが、腕の描画を省略するというものだ。上の動画はKnucklesコントローラーを紹介するデモだが、画面には腕が映っておらず、手首から先のみだ。

推測だけで下手に腕を描くよりは、コントローラーでトラッキングが可能な手だけの表示にしてしまった方が没入感が高いことも考えられる。

ゲームとして考えるなら、腕がない方が画面が見やすいのも事実だ。

Lone Echoのアイデア

ゲーム内では、腕を使って無重力空間を進んでいく。

スマートプロシージャルポーズシステム

デベロッパーのReady at Dawnは、Lone Echoのゲーム内で描かれるプレイヤーキャラクターの腕の動きをリアルなものにするために、かなりの時間を費やしたという。

同社のスマートプロシージャルポーズシステムにより、プレイヤーキャラクターがVRオブジェクトや壁面を掴む動作は物理モデルに基づいたものになっている。

この腕と手の動きはプレイヤーの操作に対応するものになっており、掴み方や触れている場所によって指の使い方まで変化する。平らな部分に手を置いたときと、オブジェクトの端を掴んだときでは手の形が異なるのだ。

一度オブジェクトを掴んだ後でも、プレイヤーが手を動かせばキャラクターも掴み方を変えてくれる。

腕が没入感を高める

プレイヤーの動きに合わない腕を描画すればVRの没入感を下げてしまうことも考えられるが、逆に動きを細かく反映してくれる腕であれば没入感を高めるツールになり得る。

Lone Echoは手を使って触れたり掴んだりするシーンが多いゲームとなっているので、腕の位置を推測する精度の高さを上手く活用している例と言えるだろう。

現実でものを掴むときには、自分の指をどこに置くかを考えたりしない。それぞれの指の動きを意識的に決めなくても、掴むものの形や場所に合わせて無意識に調整しているものだ。

しかし、キャラクターの動作がその無意識の計算と異なるものであればゲーム内の手を自分の手だと感じられなくなってしまう。

VRで無意識に計算された動きを再現するには複雑な処理が必要となる。処理の詳細については、GDC 2017でReady at DawnのJacob Copenhaverがプレゼンテーションを行っている。

 

Lone Echoのキャラクターの手は手首から先だけでなく、腕全体が描画されている。幽霊のように半透明でもなく、そこにあるというリアルな感覚が得られるものだ。

掴む、放す、あるいは握り方を変える動作も自然で、操作していればゲーム内の腕が自分の腕になったように感じることができるだろう。

腕の動きを推測する技術は、作品への没入感を高めることに繋がりそうだ。

将来は、肘や腕全体をトラッキングするデバイスが一般に販売されるようになるだろう。しかし、それまではこうしたアルゴリズムによる推測が活躍するとみられる。

 

参照元サイト名:Road To VR
URL:https://www.roadtovr.com/lone-echos-virtual-hands-unassuming-vr-innovation/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。