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摂食障害への関心を高めるVR映画プロジェクト - VR Inside

摂食障害への関心を高めるVR映画プロジェクト

     

たくさんの果物

VRを使って観光地や製品のキャンペーンを行う企業も増えてきているが、まだVR自体が新しさを感じさせる技術だ。VRを利用することで目に止まりやすくなり、多くの人に興味を持ってもらうことができる。その特長を活かして摂食障害への意識を高める映画『Iridescent』が作られた。

この作品では、VRが持つ共感を呼ぶ力を利用して摂食障害を知ってもらおうとしている。また、相談できずに摂食障害で悩んでいる人が医療機関や専門家を頼るきっかけにもなるかもしれない。

摂食障害は珍しくない

摂食障害を抱える人自身や患者の友人・家族・教師といった周囲の人たちをサポートする非営利団体のButterfly Foundationによれば、オーストラリアの人口の約4%が摂食障害を経験しているという。これは100万人に近い数字だ。

摂食障害は特定の年齢、性別、人種や社会的な地域に限定された病気ではない。本人の健康に大きな影響を与え、ときに命に関わるだけでなく家族や友人をも巻き込む病気だ。

誤った認識

摂食障害はしばしば食の好みの問題と結び付けられることがあるが、患者は好んで食べないというライフスタイルを選んでいるわけではない。本人の好き嫌いによる偏食やカロリーを気にしての食事制限とは事情が異なる。

正しい情報に基いて、自分の意思でカロリーを制限しているのであれば、それは問題ない。不健康なほど太り過ぎてしまったときやスポーツ選手には、減量が必要なこともある。しかし、摂食障害の患者は本人の意思とは関係なく食べることができなくなってしまっている。

これは周囲に心配してもらうためのアピールでもなければ、患者の精神がおかしくなってしまったわけでもない。

この障害を精神の異常と結びつける偏見があるために、適切な治療を受けられずに悩む患者も多い。治療を受けている患者は、全体の25%に過ぎないという。

「多くの患者が自分を恥ずかしく感じ、誰にも相談できずに苦しんでいます。

彼らの恥や罪の意識は、無知と無理解から来ています。もし家族や友人といった人々が患者の体験していることを理解し、サポートできれば患者が回復する可能性は高くなります。

私たちは援助と思いやりを期待しています」

Iridescentの制作に関わったMandy Griffithsは語る。

危険な疾患としての摂食障害

摂食障害の患者は狂気に陥っているわけではないが、健康な人のように考えることができない状態になってしまっている。患者の多くが症状と関連して抑うつ状態と不安、またはそのどちらかに苦しめられている。

患者の自殺率は一般の32倍と非常に高い。

障害そのもの以上に、周囲からの理解が得られないことは患者にとって辛い。家族や友人からのサポートがあれば、多くの自殺者を出すことは避けられるだろう。

プロジェクトに関わったメンバーは、共感を抱かせるシステムとして知られるVRを通して摂食障害を知ってもらうことで、患者への適切なサポートが行われるようになることを期待している。

摂食障害を正しく知る

オクラのホットサラダ

周囲の人だけでなく、患者自身も正しい知識を持っていないことがある摂食障害。

Butterfly Foundationのヘルプラインでマネージャーを務めるJuliette Thomsonは、摂食障害が扱いの難しいメンタルヘルスの問題の中でも特に難しいと語る。精神と肉体の両方が関係しているからだ。

痩せすぎている人物をモデルとした極端なダイエットや、自分が太っているという思い込みが元で食べられなくなってしまうこともあれば、うつ病のような疾患が元々あって食事を取らなくなってしまうこともある。

「患者を治療するには、肉体だけでなく複雑な精神の問題にも対処しなければなりません。摂食障害を患う人の多くがうつ病や抑うつ状態、不安症といった障害を併発しています。

私たちの活動の目的の一つは、摂食障害の重大さについて人々に伝えることです。

それは行き過ぎたダイエットではありません。『痩せ過ぎているから、もっと食べなよ』と言ってあげれば済む問題ではありません」

 

彼らはウェブサイトや動画共有サイトを通して摂食障害の情報を発信したり、患者や周囲の人をサポートするためのワークショップを行ったり、チャットや電話で相談できる窓口を用意したりといった活動を行っている。

今回のVR映画もそうしたプロジェクトの一環だ。VRの話題性が彼らの取り組みの知名度を上げることに貢献するだろう。

 

参照元サイト名:Iridescent
URL:http://iridescentvr.com/

参照元サイト名:Butterfly Foundation for Eating Disorder
URL:https://thebutterflyfoundation.org.au/our-services/

参照元サイト名:The Sydney Morning Herald
URL:http://www.smh.com.au/nsw/new-virtual-reality-film-captures-the-anguish-of-eating-disorders-20170525-gwcq3k.html

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。