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ある女性実業家から見えたVR業界にひそむ女性軽視 - VR Inside

ある女性実業家から見えたVR業界にひそむ女性軽視

     

海外メディアPRweekは、ある女性実業家のVR業界に関する投稿記事を掲載した。

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そのドアは閉ざされたままだった

Helen Bertelliは、コンテンツによるブランディング戦略に関するコンサルティングを手がけるInfinite Global Consultingの副社長を務めている。同女史は、昨今のVRの急成長に注目し、VRコンテンツを中心とした経営戦略を推進した結果、業績を3.5倍に伸ばすことに成功した。そして、何より彼女自身がVRテクノロジーに魅了され、VRコンテンツの虜となっていた。

そんな彼女には、VRに関してひとつだけ不満がある。VR関連のカンファレンスに出席するたびに痛感するのは、女性参加者が圧倒的に少ないことだ。あるカンファレンスでは、100名の参加者のうち女性が2名のこともあった。

VRコンテンツの作り手に女性が少ないのは、この業界がまだ誕生したばかりということもある。VRに限らずVR業界が属するゲーム業界、IT業界についても女性は少数派だろう。このことに関しては、同女史はまだ我慢できた。しかし、VR Worldという大規模なVRカンファレンスに出席した時、同女史にとって耐えがたいことが起こった。

VR Worldにおいても女性出席者は相変わらず少数に留まっていた。そんななか「事件」はカンファレンス初日に起こった。以下に、この事件について同女史が綴った文章をそのまま翻訳する。

VR World初日の午前のあいだずっと、女性トイレの正面ドアにはカギがかかっていた

トイレが使えなくて不安げにしている女性の小さな列ができている一方で、男性参加者たちは談笑し、注目されている次のセッション会場に走って向かっていた。

列に並んでいた私(Helen Bertelli女史)の隣にいた女性は私のほうを振り返り、こう言ったのだ。「殿方はまるで女性は来るなと言わんばかりですね」

また同女史は、VRコンテンツのなかには暴力を礼賛し女性をモノのように扱うものがあることを指摘し、嘆いている。

VR業界における女性

無視できないVRコンテンツ消費者としての女性

同女史が身をもって体験したように、VRコンテンツの作り手にはまだ女性が少ないようだ。その一方で、VRコンテンツの消費者には女性は少なくないシェアを占めている。

その証拠として、本メディアが以前に紹介した調査会社SuperDataのレポートでは、アメリカのVRコンテンツ消費者の40%が女性であることを明らかにしている(以下のグラフを参照)。

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注目される「女性向けVRコンテンツ」

日本においても、女性をターゲットとしたVRコンテンツが多数開発されている。

そうした女性向けVRコンテンツはスマホアプリに多いのだが、その一例として「椅子ドンVR~一ノ宮英介 編~」がある。

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同アプリは、女性向けの恋愛シミュレーションゲームを多くリリースしているボルテージ社が開発した。

イケメンに壁ドンをされてドキドキするシチュエーションは、女性ならば夢見るシチュエーションであるが、同アプリはその上をいく「椅子ドン」をVR体験できるのだ。

同アプリはTGS2016(東京ゲームショウ)の展示で大きな話題を呼んだ後、満を持してリリースされた。

国内外の「女性VR開発者」育成の試み

女性VR開発者を育成するイベントも、世界各地で開催されている。

アメリカ・ロサンゼルスでは、13歳から18歳の少女たちにVR開発の方法を伝えることを目指した「Girls Make VR」プログラムが開催された(下の画像参照)。同プログラムには二人の男性も生徒として参加したが、本来は女性をターゲットとしてデザインされている。

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同プログラムに対しては、多くの企業がサポートを申し出ている。UnityやOculusを含むVR関連企業が講座の開催に協力している。参加希望者からの申し込みの数も多く、参加申し込みの締め切り前に定員に達したという。

同プログラムを企画・運営しているVan Cuylenberg女史は、講座を週一回開催にすることを目指している。継続的に学習の機会を設けることで、参加した学生がVRでの作業に関する一連の知識と技術を身につけられるようにするためだ。

日本でも同様のプログラムが開催された。女性VRコミュニティ『Women in VR/AR Japan』を運営する株式会社フルクオールは、2017年6月17日にプログラミング初心者を対象とした女性限定VR開発体験ワークショップ」を開催した(下の画像参照)。

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VR業界における女性進出は、まだ道半ばであるものも、確実に進んでいるようだ。

Helen Bertelliが投稿したVR業界に関する記事を掲載したPRweekの記事
http://www.prweek.com/article/1438107/women-virtual-reality-lean

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吉本幸記

Writer: 千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能 性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com