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VRコンテンツで利益を得るための6つのポイント

2017/10/06 14:01

様々なデバイスのユーザ
様々なデバイスのユーザ

VRユーザが使うデバイスも一つではない

VRヘッドセットを利用するユーザは世界中で増加を続けており、VRゲームや360度動画コンテンツを制作して大きな利益を上げることも夢ではなくなっている。しかし、事実としてVRコンテンツで成功している例は多くないのも事実だ。

VR業界ではまだ参考にできる先行例が少なく、ノウハウが蓄積されていないためにこの業界での成功は難しいものになってしまっている。LinkedinにVRコンテンツを収益化する方法を論じた記事が掲載されたので、そのポイントを確認してみよう。

1.プラットフォームの選定

様々なメーカーがVRデバイスを開発している

様々なメーカーがVRデバイスを開発している

最初に把握しなければならないのは、コンテンツのターゲットとなるユーザがどのようにVRを利用しているのかだ。彼らがVRとどう付き合っているのかを知らなければ、彼らの心に訴えるコンテンツを提供することはできないだろう。

利用プラットフォームの選定

特に重要なのは、VRコンテンツに触れるために使用されているデバイスまたはプラットフォームだ。ユーザに届けたいと考えているのがリアルな映像をウリにするハイクオリティなVRゲームであればPCベースのハイエンドヘッドセットを使うべきだが、メッセージ性を重視したVRドキュメンタリーであればモバイルVRプラットフォームを選んで多くの消費者に観てもらうことを狙うべきかもしれない。

あるいは、コンテンツの内容ではなくターゲットとするユーザの属性からプラットフォームを決める方法もある。ユーザの年齢や所得によって所有しているVRデバイスは異なるので、ターゲットに合わないプラットフォームを選んでしまえば売上は振るわないだろう。

モバイルVR

スマートフォンを利用するモバイルVRプラットフォームでは、サムスンのGear VRやGoogleのDaydreamがある。これらはいずれもAndroidスマートフォンを対象にしており、対応するスマートフォンがあればヘッドセット本体は1万円程度と安価に購入可能だ。

低価格とバンドル戦略のためにユーザの数が多く、高価なPCベースのVRヘッドセットを所有している割合が小さい女性や非ゲーマーにアプローチするならば適したプラットフォームと言えるだろう。

YouTubeやFacebookで公開した360度映像にそれぞれのプラットフォームからアクセスすることもできるので、プラットフォームに縛られないコンテンツの展開が可能なのも魅力だ。

反面、処理能力やトラッキング能力は限られている。没入感の高いVRゲームを開発したいなら、別のプラットフォームを選ぶべきかもしれない。

PCベースVR

PCベースのVRヘッドセットとしては、HTC ViveとOculus Riftが二大勢力となっている。いずれのデバイスもモバイルVRとは一線を画す性能を有しているが、価格は高い。処理能力の高いパソコンが必要なことを別にしても、ヘッドセット本体とコントローラーのセットが6万円以上する。

加えて、導入の複雑さもあって所有者は少ない。ゲーマーやITに関心のある消費者をピンポイントに狙いやすいプラットフォームだ。

こうしたハイエンドVRヘッドセットを購入するユーザが目的にしているのは、SteamVRやOculus Storeで配信されるVRアプリだろう。YouTubeに360度動画をアップロードするのと違って、各プラットフォームのストアで審査を通過しなければコンテンツを販売することができないことは覚えておくべきだ。内容によっては審査を通過できない可能性がある。

ハイエンドVRのユーザは比較的経済力のある30代の男性が多く、少々価格が高めのコンテンツでも品質次第で購入してくれることを期待しても良いだろう。ただ、ルームスケールVRや高精度のトラッキングを活かしたVRコンテンツは開発のコストも大きくなってしまう。

PSVR

現時点で唯一の家庭用ゲーム機をベースとするVRヘッドセットがソニーのPSVRだ。価格はモバイルVRほど安くないがPCベースのVRヘッドセットと比べると抑えられており、品質面でもPCベースのVRには劣っている。

だが、このデバイスについて特筆すべき点はその扱いやすさだ。多くのゲーマーが所有するPS4と接続して簡単に使い始めることができ、ゲームコンテンツも豊富である。この特徴は、若いゲーマーがPSVRを所有している割合を高めることに繋がっている。

ただし、PSVRのコンテンツはPS Store経由で販売することになる。PCベースのVRコンテンツ以上に審査は厳しくなるだろう。

Google Cardboard

とにかく多くの人に体験してほしいなら、Google Cardboardを選ぶ方法もある。他のVRプラットフォームのように没入感の高い体験は提供できないが、一般的なスマートフォン(iPhoneを含む)があれば利用できるのがこのプラットフォーム最大の特長だ。

紙製のCardboardゴーグルであれば非常に低コストで用意できるので、製品やブランドをPRするためにゴーグルを配布する企業もある。ハンドトラッキングや高度な処理を必要としない360度映像の場合には、有効な選択肢となるだろう。

リーダー不在

これまでのところ、特定のプラットフォームがVR業界をリードするような形にはなっていない。2016年に販売台数が多かったのはGear VRだが、価格よりも性能を求めるユーザはHTC Viveを購入している。

価格の変化や新製品の登場によって市場が大きく変化する可能性は常にあるが、現時点ではどのプラットフォームをターゲットとした開発にも一定の価値がありそうだ。

2.配信サービスの選定

SteamVR

次に考えなければならないのは、制作したコンテンツを提供するプラットフォームの問題だ。Oculus RiftやPSVR専用のVRゲームはそれぞれのメーカーが提供するストアで販売するしかないが、360度動画であれば様々なルートが考えられる。

VRユーザはどのように映像コンテンツを探しているのだろうか?

動画配信サイト・アプリの利用

メジャーな360度動画の配信サイトとしては、YouTubeやFacebookがある。これらは360度動画にも力を入れており、既に多くのアクセスを獲得しているのが魅力だ。大手映像プロダクションが制作したコンテンツもこうしたサイトで公開されており、商業作品を公開する舞台としても十分利用できる。

他にも利用者に若者が多く女性ユーザも比較的多いPeriscope、クリエイターやアーティスト向けのVimeoなど、個性的なサービスが存在する。自分の作品にあったサービスを利用すれば、ターゲットとするユーザを集めるために利用できるだろう。

ただし、こうしたサービス経由でコンテンツを配信すると売上の一部をホストに提供しなければならないか、あるいはシンプルに利用料が必要になる。

個別アプリとしての配信

もう一つの方法は、Google Play StoreやAppleのApp Storeで個別アプリとして配信する方法だ。

この方法には「おすすめ新着動画」のようなリンクを辿ってくるサービス・アプリ内の流動ユーザを取り込めないという難点があるが、コンテンツと他媒体での広告によって消費者を呼び込むことができるならば有効になるかもしれない。

3.ユーザの反応を測定

VRユーザの反応を測定する

VRコンテンツは作って終わりではなく、体験者からのフィードバックを取り入れてより良いものにしていくことが重要だ。

コンテンツの体験後にアンケートに答えてもらうのも一つの方法だが、VR体験中に被験者の反応を読み取る方法も複数の企業が開発している。視線の動きや心拍数の変化を測定し、コンテンツに対して被験者がどう反応したかを測定するのだ。

ノウハウの不足

VRコンテンツの開発に関するノウハウはまだ不足しており、どういったコンテンツを作成することでユーザを惹きつけられるのかははっきりしない。反応が予想できないからこそ、実際に測定して確かめることに意義がある。

だが、VRコンテンツに対する反応を測定するプラットフォームは適用可能なコンテンツやデバイスが限られていることもある。VRゲーム以外のコンテンツや360度動画でも、魅力的なものならばユーザを注意を引くことができるはずだ。

魅力的なユーザ層

VRを最も良く利用しているのは、25歳から39歳の男性で、特に30代のユーザが多いようだ。

この世代は収入も安定していることが多く消費に関して積極的なので、マーケティングを考える企業やブランドがぜひアプローチしたい層となる。コンテンツそのものを販売するのではなくプロモーションに利用するのも、VRを活用する方法だ。

4.コンテンツのジャンル

VRコンテンツの様々なジャンル

VRコンテンツの様々なジャンル

VRコンテンツには様々なものがある。利用するユーザ層も異なり、価格が高くても売れる分野もあれば無料でなければ利用者が少なくなってしまうものもある。どういったジャンルのコンテンツを開発するかは重要な要素だ。

VRユーザの望むコンテンツ

VR市場で大きな存在感を保ち続けているのが、VRゲームだ。ゲーム以外のVRコンテンツも増えてきているが、やはりVRゲームは強い。

PCベースのハイエンドVR向けに開発されたゲームでは5千円かそれ以上のものも多く、VRコンテンツ1本の価格としては高価だ。しかし、人気ゲームならその値段でも売れてしまう。ユーザ数も多く、単価も高いのがVRゲームである。

お金を払う価値のあるコンテンツ

現在は、多くのコンテンツを無料で利用できる時代だ。

違法にアップロードされた音楽やゲームの問題だけでなく、「定額◯◯放題」サービスが普及したことで個別のコンテンツに対してお金を払うという意識が薄れていることも関係しているだろう。適当に暇を潰すためのエンターテイメントコンテンツならば無料あるいは追加課金無しで手に入ってしまう。

「お金を払っても見たい」と思わせるプレミアムな要素が求められている。通常は入れない場所に入れるVR映像や、人気アーティストのライブ映像などがそうだ。こうした要素はユーザに有料コンテンツの購入を決意させるものであり、こうした特徴のあるコンテンツを無料で提供すればブランドの好感度を上げることに繋がるだろう。

ここで注目されているのがアダルトVRコンテンツ、つまりVRポルノである。VRゲームほどコンテンツの単価は高くないが、旅行体験のようなVR映像に比べて有料でも視聴するユーザが多い。ポルノはお金を払って見るものという認識があるユーザが多いのかもしれない。

5.子供向けVR市場

子供向けVRの可能性

子供向けVRの可能性

無視してはいけないと指摘されているのが、子供向けのVRコンテンツ市場だ。子供といっても幼児ではなく、13歳から17歳くらいの少年・少女たちである。

こうした世代は大人以上に新しい技術に興味を持っており、見慣れないものに対する抵抗も薄い。この世代は店舗に設置されたVRの体験コーナーを利用することが多く、体験後に友人に口コミする割合も大きいという。

子供向けモバイルVR?

ただ、彼らの多くは全く働いていないか、アルバイトをしていたとしても収入は少ない。大人にとっても高額なPCベースのVRヘッドセットを購入するのは難しく、VRデバイスを保護者にねだることになる可能性が高い。

保護者もゲーマーであれば子供のお願いをきっかけにハイエンドVRヘッドセットを購入して家族で使用することも考えられるが、一般的な家庭では買い与えるとしてもモバイルVRヘッドセットになるのではないだろうか。

こうした懐事情から、子供向けのVRコンテンツを開発するならばモバイルVRをプラットフォームに選ぶのが有効そうだ。

6.どのように利益を得るか

上がり相場

VRコンテンツで利益を得る方法として最もメジャーなのは、コンテンツを販売することだ。ダウンロード時に一定の金額を支払ってもらうこともできるし、ゲーム内で利用できるアイテムやアプリの追加機能を有料で提供する方法もある。

1億円以上を売り上げるVRゲームも出てきているので、VRで億万長者になるのも不可能なことではない。

広告としての利用

それ以上に有望なのが、製品やブランドのPRにVRを利用する方法だ。

VR映像を使ったプロモーションは、通常の映像を使ったものよりもSNSでシェアされやすいという。同じコストでより多くの消費者に対して映像を届けることができるなら、広告効果は大きくなることが期待できる。

ブランドロゴを印刷したCardboardゴーグルを配布したり、イベントの来場者特典としてプレゼントしたりする方法も有効だろう。ゲームやアダルトコンテンツであればVRコンテンツを販売するのも良いが、対価を得にくいジャンルのコンテンツでも集客・広告に利用することは可能だ。

 

VRコンテンツの販売で成功を狙うならば、30代の男性ゲーマーにウケる高品質なVRゲームを作るのがおすすめになるのだろうか。だが、コンテンツの販売によって直接利益を得ることを考えないならば子供向けモバイルVRコンテンツや女性をターゲットにした旅行体験映像にも可能性はある。

コンテンツ販売を狙うにしてもマーケティングツールとして使うとしても、VRは企業にとって無視できない技術となっているようだ。多くの企業がVRコンテンツの開発に取り組むようになれば、ユーザにとってはより魅力的なコンテンツが増えることになるだろう。

 

参照元サイト:Linkedin


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