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Facebook、カメラ画像にAR視覚効果を付加する「AR Studio」オープンベータ版を一般公開

Oculusの親会社であるFacebookは、Oculus Riftの値下げによるシェア拡大やOculus Goの発表に見られるように、VR市場におけるプラットフォーマーとしてその地位にふさわしいニュースを発信し続けている。そんな同社は、今年4月に開催された同社年次総会「F8」でARカメラプラットフォーム「Camera Effects Platform」を発表したことで、AR市場のプラットフォーマーに名乗りをあげた。そして、2017年12月12日、ARプラットフォーマーの地位にまた一歩近づくニュースを発表した。

AR Studioのイメージ画像

ARカメラ体験の開発環境が開発者の手に

Facebook開発者向け公式サイトによると、同社が開発するARカメラ体験の開発環境「Camera Effects Platform」を構成する「AR Studio」のオープンベータ版がリリースされた。

同開発環境が今年4月に発表された時点では、ユーザが使用申請を行う必要があるクローズドベータ版であった。使用申請を行ったユーザからフィードバックを得ながら同開発環境のブラッシュアップを続けて、ようやく使用申請が不要なオープンベータ版が完成した、というわけである。

同社の発表によると、クローズドベータ版には2,000人を超える開発者からフィードバックがあったとのこと。

ちなみに、「Camera Effects Platform」を構成するもうひとつは「Frame Studio」である。こちらは、カメラのフレームにAR的視覚効果を付加するもので、現時点で使用可能である。使用する場合は、こちらのウェブページから可能だ。

なお、AR Studioはこちらからダウンロードが可能だ。ただし、現時点ではMacにのみ対応している。

Frame Studioで作成されたAR画像のイメージ画像

Frame Studioで作成されたAR画像

AR Studioを使ってできること

AR Studioを使うと、カメラ画像に以下のようなAR的視覚効果を付加することができる。

マスクとアニメーションエフェクト

ARスタジオのマスクとアニメーションエフェクト機能の実行例。実際は動画なので動きがある

マスクおよびアニメーションエフェクトとは、ヒトを撮影した動画にAR的な演出をほどこす機能である。

例えば、何かに怒っているようなヒトの顔の動画を撮影後、同機能を使うと撮影されたヒトの顔に鬼が怒っているようなアニメーションを合成できるのだ。

リアルタイムデータエフェクト

リアルタイムデータエフェクトとは、更新中のデータと画像を合成する機能である。

同機能で想定されているのは、ライブ配信中の動画に画像を合成することだ。

具体的な使用例として考えられるのは、サッカーの試合がライブストリーミング配信されている時、ゴールがきまった時の動画シーンに対して、「ゴール!」という文字を合成する、というようなケースである。

データ連携エフェクト

データ連携エフェクトとは、PCやスマホが保持しているデータと画像を合成する機能だ。

同機能の使用例としては、走った距離を記録するヘルスケアアプリの走行データと、走っているユーザーの画像を合成する、というようなことが挙げられる。

モバイルAR市場は誰がけん引する?

本メディアでは、AppleのARKitアプリやFacebookのCamera Effects Platformが形成するモバイルAR市場が、今後急激に成長すると予想した調査会社Digi-Capitalのレポートを報じた。

そのレポートによれば、同市場は2021年までに全世界で10億ユーザーを獲得し、600億ドル(約6兆5,000億円)規模に成長すると予想される(上のグラフ参照)。

こうした同市場の成長をけん引するのはどのプラットフォーマーなのか、という疑問が当然のごとく生じるだろう。この疑問に対する答えとなる企業の候補は、Apple、Facebook、Googleである。

現時点でもっとも有利なポジションにいるのは、Appleである。同社が発表したARKitは空間認識が可能なうえに、対応端末がすでに普及していることから今後あらゆるカテゴリーでARKitアプリがリリースされることが予想される。

FacebookのCamera Effects Platformは、空間認識機能はないものもARKitにはないメリットがある。そのメリットとは、iOSスマホとAndroidスマホの両方に対応したARカメラ画像アプリを開発できることだ。潜在的なユーザ数はARKitを上回るというわけである。

GoogleのARCoreは、ARKitとほぼ同等の性能であるものも、まだ対応端末が少ない。したがって、現時点ではApple、Facebookに一歩遅れているという印象がある。もっとも、対応端末が増えるにしたがい、この遅れを取り戻すだろう。

まとめると、AppleとFacebookがモバイルAR市場をけん引し、やや遅れてGoogleが同市場で存在感を示すことになるだろう。こうした動きは、2018年に起こると予想される。

2018年は「モバイルAR元年」?

Appleに続きFacebookがモバイルAR市場に正式参入したことで、モバイルAR市場の役者が揃った感がある。

モバイルAR市場の最大の強みは、スマホという十分に普及したデバイスがあれば最先端のAR体験ができることにある。こうした強みを生かして、2018年はモバイルAR市場が開花するのではないだろうか。

ソース:Facebook Developer News


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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