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Apple・CEOティム・クック氏発言「ARKitは、ARをメインストリームにする第一歩」

2017/06/30 14:08

AppleのCEOティム・クック氏が海外メディアBloombergのインタビューでARについて語った。それによると、ARKitは「ARをメインストリームに位置づけられる経験にする第一歩」と述べ、ARがいずれ企業と一般消費者に不可欠なものになる、とのこと。

海外メディアBloombergは、Apple・CEOティム・クック氏に対して行ったロング・インタビューを掲載した。

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冷静沈着なティム・クック氏の興奮

同メディアは、2017年6月15日、Apple・CEOティム・クック氏に対して行ったロング・インタビューを行い、同氏の発言を掲載した。

ちなみに2017年6月15日というのは、Appleが数々の新製品を発表した開発者会議WWDC 2017を終えて間もない頃である。以下では、インタビューのなかでもARに関する箇所を抜粋して紹介する。

インタビュアー:あなたは、Apple社の未来の中心となるのはARテクノロジーだということで、ARに関してたくさん発言されています。今後のARに関する動向をどのように考えていますか?

ティム・クック氏:私はARは深遠なものだと思っています。そして何より、ARにはとても興奮していて、大声で叫びたいくらいなのです。

ARをメインストリームに位置づけられる経験にする第一歩は、ARをOSに組み込むことです。実際、AR(アプリを開発するプラットフォームであるARKit)をiOS 11に組み込み、開発者に公開しました。つまり、何百万ものの人々(開発者)のクリエイティビティを解放したのです。もっとも、こうした出来事からいったい何が起こるかは、予想することはできませんが。

そうは言っても、ARが引き超こすことはすでに見ることができます。私たちはIKEAと話し合い、IKEAが所有する家具に関する3DモデルをARに活用することを決めました。この決定によって、ユーザーは家に置く家具やそのほかのインテリア・グッツを購入する方法が一変するのです。こうしたARを使ったIKEAでのショッピングは、企業と消費者のあいだのつながりを大きくするものだということに気付いてほしいのです。そして、ARによる世界の変革は、IKEAの一件に留まりません。

ARは、企業が現在行っている業務に不可欠となることでしょう。また、いくつかの一般消費者向けのプロダクトは信じられないくらいクールになるでしょう。

こうしたなか、今自分たちがやりたいと思っていることをすべて実行できるでしょうか?そうではないでしょう。というのも、テクノロジーとは、現在ですべてのことが成し遂げられるようにはならない、未完成なものだからです。しかし、この未完であるテクノロジーは美しくなる過程でもあります。

テクノロジーとは、滑走路のようなものです。しかも、とびきり素晴らしい滑走路でもあります。今はシートベルトをして出発したばかりなのです。そして、ARの可能性について理解し始めたとき、人々はARに興奮することでしょう。ちょうど、Apple社が、ずっとARに興奮してきたように。

ティム・クック氏は、FBI(アメリカ連邦捜査局)からiPhoneのパスコード解除を要請されても頑として応じなった一件からわかるように、冷静沈着にして胆力のある人物である。そんな同氏は、ARのことになると饒舌となり、まるで出資を募るスタートアップのCEOのように熱っぽくなるのだ。

なお、同氏の発言のなかで言及されているIKEAとのコラボに関しては、本メディアが過去に報じた記事で言及したことがある。

Appleが考えるARの可能性

以上の発言からわかることは、ARには広範な応用範囲があり、企業と一般消費者の両方にとって不可欠なテクノロジーになっていくことであろう。Appleが発表したARKitの広範な応用範囲に関しては、すでに本メディアでも報じている。また、開発者向けに公開されている同プラットフォームを使ったデモアプリやデモ動画も、以下に引用する本メディアの記事にあるように、すでに多数公開されている。

(参考記事)
「そのポテンシャルはTango以上?世界中の開発者が公開したARKitデモ動画を紹介」
「iPhoneをメジャーとして使えるARアプリがARKitとともに登場する?」

同氏の発言からわかるもうひとつのことは、ARによる世界の変革はまだ始まったばかり、ということだ。ARKitの発表に関しては、「ARをメインストリームに位置づけられる経験にする第一歩」と表現し、「未完」「滑走路」という単語でARテクノロジーが現在進行形のプロジェクトによって推進されていることを印象づけている。

ARKitが第一歩だとすると、第二歩はやはり繰り返し噂となっているAR専用グラス「iGlass」ではないかと推測されてしまうのだ。AR専用グラス開発に関しては、Appleは公式なコメントは一切発表していないものも、以下に引用する本メディアの過去記事が示すように水面下で活発な動きを見せている。

(参考記事)
「アップルのARメガネ、製品が登場するのは1年以上後? 」
「Appleによるコーニングへの投資はARグラス開発への布石か?」
「Apple、アイトラッキング技術に強いSMIを買収。ARグラス開発の布石か? 」
「Apple、3Dセンサーに関する特許を取得。ジェスチャー・コントロール技術実現の布石か? 」

以上の引用を見るとわかるように、AppleはARグラス開発のためにすでに多数の「布石」を打っているのだ。

ともあれ、「AR普及の第一歩」であるARKitで開発されたARアプリはまだリリースされていないが、今年後半には一挙にリリースされて、ちょうどスマホアプリが登場した時のようにユーザーをワクワクさせてくれるのではなかろうか。

Apple・CEOティム・クック氏に対して行ったロング・インタビューを掲載したBloombergの記事
https://www.bloomberg.com/news/features/2017-06-15/apple-s-tim-cook-on-donald-trump-the-homepod-and-the-legacy-of-steve-jobs

     

     

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能 性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com