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教育にARを取り入れるべき理由

2017/05/23 17:17

アメリカでは教育の現場にVRを取り入れる動きが広がっているが、ARもまた教育での利用が期待されている技術だ。コストの低さや実践トレーニングとの親和性などARならではの強みもあり、大きな市場になる可能性がある。

VRヘッドセットを付けた学生

アメリカでは、学生・生徒の教育ツールとしてVRを取り入れる動きが広がっており、教育用のVRコンテンツを制作している企業が地域や学校教員と連携している例もある。

VRを使えば、イラストや二次元の映像よりも感覚的に情報を伝えることが可能だ。歴史上の出来事も、天体の運行も、その場に居るように眺めることができれば自然に頭に入っていくだろう。

一方で、ARはまだあまり教育の分野で利用されていない。だが、ARは教育の標準的なツールになってもおかしくないという主張もなされている。

ARと教育

教育におけるAR

投資会社の予測

「ARは教育における標準的なツールとなる可能性があり、12歳以下の生徒への教育と高等教育の両方において『教わり方』に革命を起こす可能性がある」

そう主張するのは意外にも、エンジニアやIT企業の経営者ではない。この意見は投資会社のゴールドマン・サックスがVRとARを扱ったレポートに掲載されたものだ。

技術の明るい未来を想像しがちなIT系の企業と異なり、投資会社はそのリスクもきちんと評価しなくてはならない。ゴールドマン・サックスがそうした主張をするのは、教育におけるARの利用が大きく広がると予想しているからだ。

ゴールドマン・サックスは、2025年までに教育系ARのユーザが1,500万人まで増加し、市場規模は7億ドル(777億円)にもなるという。

AR利用の実際

ARが教育を変えるという期待は出ているが、その採用は遅々として進まない。学校は慢性的な資金不足に悩まされており、AR採用の進行は非常にゆっくりとしたペースだ。

今年の4月に非営利団体のProject Tomorrowが発表したレポートによれば、アメリカの教師でARを授業に取り入れているのはわずか5%に過ぎないという。この割合は高校の科学教師とコンピュータ科学・技術教師でやや高いものの、それでも9%と11%でしかない。

ARの可能性

学習ツールとして見たARの優れた点は、ユーザの行動に合わせたインタラクティブな体験を提供できるところだ。画一的に情報を与えるのではなく、生徒に合わせた学習が可能となる。

三次元のオブジェクトが表示されるため、二次元のイラストから頭の中で立体のイメージを作り出す必要がないのも利点だ。ARは(VRもだが)実際に体験するのが不可能だったり、危険だったりする実験も可能にしてくれる。

こうした性質は、医学校や職業訓練施設などで特に効果的だと考えられている。

教育におけるARの強み

車にタブレット端末をかざす

気になるオブジェクトを調べる

教育におけるARの強みには、次のようなものがある。

ユーザ主導の学習経験

一人の教師が生徒集団を相手にする学校での教育は、教師が教えるべき内容を話し、生徒がそれを聞くという形になってしまいがちだ。だが、ARでは生徒と教材が1対1で対話しながら学習を進めることができる。

数式の中で気になる公式が出てきたときにそこを重点的に復習したり、知っている情報を飛ばして効率的に先の章へと進んだりと生徒一人一人に合わせた利用が可能になるのがARの強みだ。

教師と生徒が1対1で教えることは難しいので、そこを補うためにARが使われる可能性がある。

オブジェクトのモデリング

生徒が三次元のモデルを作成し、自由に回したり拡大したりしながら学ぶことができる。実際に模型(例えば人体模型)を使う方法もあるが、当然ながら模型を用意するにはそれなりのコストがかかる。

一般的な模型では真似できない特徴として、動かすことができるという強みもある。人間の内臓がどのように機能しているかを人体模型からイメージするよりも、動画で見る方が分かりやすい。

AR書籍

AR技術を利用することで、一般の書籍の体験を強化できる。ARのインタラクティブ性や、ページに合わせて表示される動画のようなコンテンツが内容の理解と記憶を促進するだろう。

ウェブページや教育用の映像コンテンツでも近いことはできるが、紙の書籍から情報が広がっていくという経験ができるのはARならではだ。

実践的スキルトレーニング

現場で実際に使えるスキルを身に着けなければならない学生や新入社員のトレーニングにも、ARは適している。工業や医療の分野では、既に実用化が始まっている。

人形を使ったアナログなシミュレーションやVRでのシミュレーションという方法もあるが、人形にARを組み合わせればさらに本物に近いリアルなトレーニングを行うことができる。

ゲーミフィケーション

ゲームにしてしまうことで、勉強は苦痛ではなく楽しいものになる。単純に勉強時間を記録してグラフにするだけでも達成感は得られ、勉強を続けるモチベーションとなる。

 

ARはまだまだ新しい技術であり、ARを使わなければ勉強ができないわけではない。だが、利用することで勉強が楽しいものになったり、好奇心をくすぐるものになったりするのもまた事実だ。VRだけでなくARも教育の現場に導入されていくのだろう。

スマートフォンを使ったARならばコストが安いので、本格的なVRに比べて学校の負担が少ないこともメリットだ。

 

参照元サイト名:Centric Digital
URL:https://centricdigital.com/blog/augmented-reality/5-reasons-education-needs-to-invest-in-augmented-reality/

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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