VR Inside

VR/AR/MRの未来を創るビジネスニュースメディア

VRプラットフォーム『High Fidelity』がブロックチェーンを用いたバーチャル経済システムを構築する

VRプラットフォームHigh Fidelity

豊富なデジタルアイテムが売買されるHigh Fidelity

『High Fidelity』は、セカンドライフを開発したPhilip Rosedaleの立ち上げたVRプラットフォームだ。一言で言ってしまえば、VR版セカンドライフである。

コミュニケーションに利用可能なVRプラットフォームを提供するサービスは複数存在しているが、その中でHigh Fidelityを特徴付けているのはユーザによるホスティングの容易さだろう。また、Vive Trackerを使うことでユーザの全身の動作をVRアバターに反映することもできる。

一括管理されないVRプラットフォーム

VR空間に多くの人が集まるイベントも可能だ

VR空間に多くの人が集まるイベントも可能だ

High FidelityはHigh Fidelity社によって開発されているVRプラットフォームだが、一般的なオンラインゲームのようにプラットフォームの全てを同社が管理しているわけではない。High Fidelityはオープンソースで開発が進められており、ユーザが独自に改造を施したVR空間をホストすることが可能だ。

先日発表されたクラウドサービスを活用すれば、自前でサーバを構築しなくても簡単・低コストにVR空間を公開することができる。また、High Fidelityは通信量を抑えており、多数のユーザが同じ空間にログインしても遅延の少ないサービスを提供できるとされている。高性能なサーバを用意できる大企業だけでなく、中小企業や小規模なデベロッパーでもこのプラットフォームを利用したVRコンテンツを開発・公開できるだろう。

デジタルアイテムの売買

アバターを飾るためのアイテムが販売される店舗

VR空間の店舗でアバターを飾るためのアイテムが販売される

High Fidelity内にオープンしたアバターアイランドでは、VR空間でアバターが身につけることのできるデジタルアイテムが300種類以上も販売されている。これらのアイテムはハイフィデリティコイン(HFC)というゲーム内の通貨で取引される。

HFC

HFCは、ゲーム内通貨というよりもビットコインのような暗号通貨に近い概念だ。

消費する側から見ると、アイテム課金型のアプリゲームで一般的なジェムのような課金通貨にも近い。ユーザはゲーム内で敵を倒してアイテムを購入するためのお金を貯める代わりに、他の暗号通貨やリアルマネーとの交換でHFCを手に入れることになる。

バーチャル世界の経済が発展するに従って流通する通貨の量は増えるとされているが、マイニングによってHFCを採掘することは不可能だ。管理者のいないビットコインのような他の暗号通貨と異なり、High Fidelity社がこの通貨を管理する。

ブロックチェーンによる管理

ブロックチェーンでアイテムの正当性が確認される

それではどこにブロックチェーン技術が利用されるのかというと、High Fidelity内で利用できるHFCやゲーム内アイテムの正当性確認だ。HFCや各種デジタルアイテムの所有者とその取引を記録し続けることで、アイテムの複製や海賊版の発生を防ぐことができるという。

ゲーム内のオブジェクトとして有効になった瞬間にデジタル資産の台帳へと情報が書き込まれ、改変することはできない。

デジタルアイテムの所有が現実世界と繋がる

過去にもオンラインゲームの強力なアイテムがリアルマネーで取引されるという事例はあったものの、ゲーム内の資産には「実体がない」という弱点があった。どんなに優れたアイテムでもゲーム自体がサービスを終了すれば消滅してしまうし、ゲームのバグを利用した不正行為によってコピーされて流通することもある。

だが、High Fidelityのアイテムはデジタルでありながらブロックチェーンによって正規品であることが保証されている。VRアートと同じ仕組みだ。

このためにVRアイテムが「資産」としての価値を持つようになるかもしれない。VRアバター用のスニーカーを買うと、現実でも同じスニーカーをショップで受け取れる…といったブランドのキャンペーンを展開することも可能だという。

安定したプラットフォームの必要性

ブロックチェーン技術を使うことで、ゲーム内通貨やアイテムが不正にコピーされ、海賊版が流通してしまうことは防げるだろう。だが、デジタルアイテムは結局データに過ぎない。いくら高価なアイテムを持っていても、High Fidelityそのものが存続しなければただのジャンクデータになってしまう。

今最も必要なのは、人が集まる活発なVRプラットフォームだ。安心してデジタルアイテムを販売できるHigh Fidelityに多くのクリエイターが集まり、優れたアイテムを求めてユーザが多数集まるというポジティブな流れを作ることができるかが勝負となるだろう。

High Fidelityのクライアントは公式サイトもしくはSteamから無料でダウンロードでき、HTC ViveとOculus Riftに対応している。成長が待たれるプラットフォームだ。

 

参照元サイト:Medium
参照元サイト:Road To VR

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

最新ニュースを読む