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あらゆる日用品のマニュアルをAR表示するARKitアプリのデモ動画が公開

海外メディアUploadVRは、マニュアルをAR表示するデモ動画を紹介した。

マニュアルを参照する新しいスタイル

家電製品や家具を購入すると、必ずマニュアルが添付されている。インターネットの登場以降、紙媒体のマニュアルのほかにウェブブラウザを使って閲覧するマニュアルも普及した。とはいうものも、紙媒体であれウェブブラウザ経由であれ、ユーザーがマニュアルを閲覧している時には、そのマニュアルが説明している製品を見ることができない、という「当たり前」な制約がある。

アプリメーカーのJigSpaceは、ARKitを使ってマニュアルをARアプリ化することで、こうしたマニュアルにまつわる「当たり前」な制約を撤廃した。そんなARマニュアルアプリのデモ動画が以下である。

同動画ではエスプレッソマシンの内部構造、スマホSIMカードの抜き差し、イスの組み立て、そして自動車の内部構造をAR表示している。同動画はデモなので詳しい説明は省略されているが、実用的なARマニュアルを開発する場合には音声や文字で解説が追加されるだろう。

以上のようなARマニュアルアプリの最大の長所は、説明対象のモノを見ながらマニュアルが見れることである。つまり、マニュアルと説明対象のモノを並べながら見ることが可能となるのだ。この長所によって、デモ動画のイスを組み立てる様子を図解したマニュアルのように、例えば家具を組み立てる時の手順がAR表示されて非常にわかりやすくなるのだ。

同動画を開発したJigSpaceのCEOであるZac DuffはARマニュアルアプリに関して、以下のようにコメントしている。

デモ動画は、私たちがずっと研究してきた解説や図解に関する画期的で驚くべきアプローチを見せています。

デモ動画で示したアプローチは、あらゆるモノのマニュアルに応用できることを考えると、とても興奮します。

同CEOが言うように、ARマニュアルの応用範囲は日用品のすべてに及ぶ。そして明らかに、紙媒体やウェブブラウザ経由でマニュアルを閲覧するより役に立つ。こうしたAR体験が近い将来iPhoneを持っているだけで可能となるのだ。それゆえ、ARKitを用いたARマニュアルアプリは、大いに普及する可能性がある

なお同CEOの展望として、以上のようなARマニュアルはwikipediaのようにユーザーが自由に開発・配布できるようにする、とのこと。

実用的アプリとしてのARKitアプリの可能性

先月Appleが発表したARアプリ開発プラットフォームARKitは、日常生活において役に立つ実用的アプリが開発される大きなポテンシャルをもっている。以下では、そうしたARKitのポテンシャルを、本メディアの既報記事に即してまとめる。

広範な応用範囲

現時点でもっとも有名なARアプリと言えば、ARゲーム「ポケモンGO」である。ARKitを使えば、同ゲームに匹敵するクオリティのARゲームの開発も可能だ。しかし、その応用範囲はゲームに限ったわけではない。

本メディア2017年6月21日付の記事では、スイス大手銀行UBSが発表したARKitの応用カテゴリーについて紹介した。同銀行によると、ARKitにはゲームのほかに、以下のような9カテゴリーのアプリを開発するポテンシャルがあるのだ。

  • ・ジョブ・トレーニングアプリ
  • ・顔あるいはイメージ認識
  • ・ヘルスケア
  • ・緊急事態対応
  • ・家屋の修理
  • ・家具の購入
  • ・料理と小売
  • ・不動産
  • ・軍事

本記事で紹介したARマニュアルアプリは、「ジョブ・トレーニングアプリ」「家屋の修理」のふたつのカテゴリーに属するものだろう。

ARメジャーアプリ

ARKitアプリのなかには、既存の日用品を代替するかも知れないものもある。

本メディアの2017年6月29日付の記事では、ARKitで開発されたメジャーアプリを紹介した。

デモ動画を見ると、本物のメジャーの目盛りとARメジャーの目盛りがズレているのが確認できる。しかし、高い精度を必要としない場面では十分実用になるレベルと言えるだろう。

Dance Reality

本メディア2017年7月10日付の記事では、ARダンスレッスンアプリ「Dance Reality」を紹介した。

同アプリは、ARを使って足の動かし方の見本を示すものだ。床に左右の足あとマークが表示され、マークに従って足を動かしていけば正しいステップが踏めるようになっている。

ペアで踊る場合にも対応しており、きちんと2人分の足あとが表示される。繰り返し動きを見て、真似て練習することでダンスのパターンやリズムを身体で覚えられるだろう。

他の人が踊っている動画を見て真似る場合と異なり、再生する曲を選べ、ステップのスピードもユーザがコントロールできるのが特徴となっている。

以上のようなARKitが正式実装されるiOS11が正式にリリースされるのは、今年秋ごろと考えられる。正式リリース前の段階で多くの実用的なアプリが試作されているのだから、正式リリースされる時には無数のARKitアプリがストアに並ぶことであろう。

マニュアルをAR表示するデモ動画を紹介したUploadVRの記事
https://uploadvr.com/jigspace-arkit-gives-ar-manuals-just-anything/

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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