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低予算旅行者にも、高品質なフライトサービスを体験してもらう オランダの航空会社がVRアプリを制作

2017/10/18 14:34


オランダの航空会社KLMは、低予算での旅行を楽しむ人々にも、同社が提供する高品質なサービスを体験してもらうため、VRアプリ「KLM Flight Upgrader」をリリースした。

KLMがVRコンテンツを開発するのはこれが初めてのことではない。2016年の時点で同社が保有する「Boeing 787 Dreamliner」のワールドビジネスクラスシートのフライトをシミュレーションできるVRアプリ「Royal Dutch 787 VR Experience」をリリースしている。

KLM以外にもスマートフォン向けAR・VRコンテンツの開発を手掛けている航空会社は数多くあるが、機内の様子を体験できるアプリを開発している会社はまだ少ない。今後同業界で、同種のアプリが増加していくことになるかも知れない。

「KLM Flight Upgrader」について

低予算旅行者らにリーチする狙いか

「KLM Flight Upgrader」はiOS、アンドロイド両方に対応しており、それぞれiTunes App storeとGoogle Playからダウンロード可能。Google CardboardなどのDIYヘッドセットをはじめ、モバイルヘッドセットにスマートフォンを装着することで使用できる。

公式サイト上には、「budget traveler(低予算旅行者)」を念頭に置いたPR文が掲載されており、普段LCCなど低価格の航空会社を活用しているユーザーにリーチしたい、という狙いがあるようだ。

LCCよりも高品質なサービスだと強調

アプリのユーザーはKLMの高品質なサービスをVR空間内で体験することができる。同社がKLMのフライトの特徴としてあげているのは

KLMが同社のフライトサービスの特徴として挙げているのは以下の6点だ。

・ワールドクラスの機内エンターテイメントシステム
・美味しい食事
・追加で出てくるドリンクと軽食
・KLMメディアアプリを使えば、旅行中に新聞を携帯する必要が無くなる
・快適なエコノミークラスシート
・思いやりにあふれた乗務員

低予算旅行者が頻繁に利用するのLCCと違い、KLMを使えば好きな映画を観られるし、アプリを使って好きな新聞をペーパレスで読むことも可能だ。また足は広々と伸ばせる上、無愛想な乗務員に苛立つこともなく、さらには美味しい食事に舌鼓を打つことができる。

いずれも機内サービスとしては特に目新しい点はないが、LCCに流れた低予算旅行者を引き戻すためのアピールとしては十分だと考えたのだろう。

KLMがリリースしたこれまでのVRアプリ

「Royal Dutch 787 VR Experience」について

先に述べたように、KLMは昨年1月、VRアプリ「Royal Dutch 787 VR Experience」をリリースしている。

このアプリを使うことでユーザーは、「Boeing 787 Dreamliner」でワールドビジネスクラスシートに搭乗した際の乗り心地をバーチャル空間内で体験することができる。

ワールドビジネスクラスシートは、同社のエコノミークラスシートに11インチのTVモニターを追加で設置したシート。モニターの他にも同機体には、様々なイノベーティブな特徴が備わっている。KLMは客にこれらの特徴を体験してもらうため、同アプリを配信したようだ。

VRは航空会社にとって優れたPR方法になる

このように、KLMが「VR元年」(2016年)初頭という比較的早い段階からVRアプリに注目していたのは、その時点で同社がVRが航空会社のPR用メディアとして優れていることに気付いていたからだ。

たとえば、KLMはアプリを体験してもらうために、「邪魔をしないでください。KLMでフライト中です」という文字がラベリングされた、独自のカードボードヘッドセットを客に配布していた。さらに興味深いことに、このヘッドセットを競合他社の乗客に配布していたのだ。

また、VRをこうしたPR方法としてだけではなく、フライト体験を質的に変化させる可能性を秘めた技術としても期待を寄せていた様子が伺える。実際、KLMの公式サイト上で公開されている「Royal Dutch 787 VR Experience」の開発者、Jacob Post氏のブログには、同氏の「VRがフライトのあり方を変化させうる」というコメントが掲載されているのだ。

「機内に」AR・VRサービスを導入する航空会社は現れるのか?

今回KLMがリリースしたアプリはあくまで同社のPR戦略の一環であり、そのためフライトの質そのものを劇的に変化させるという類のものではない。

他の航空会社から過去にリリースされたAR・VRアプリも、空港内のナビゲーションアプリなどが主流で、「機内でのAR・VR体験」をサービスとして導入している会社は見当たらない。

しかし、XR技術を上手く使うことができれば、フライト体験の質を大きく向上させられる可能性もある。たとえばHololensを活用することでビジネスパーソンは場所を広く取らずとも、機内でオフィス業務を進めることが可能だ。

こうしたHololensの活用法はあくまで一例だ。しかし機内にAR・VR・MR関連サービスを導入する会社がそろそろ現れても良い気はする。

参考URL:
KLM, Blog:Meanwhile at KLM, VRSCOUT

池谷 翼


大学では社会学を専攻してました。先端情報技術と社会の関わり合いに興味があり、個人的に調べています。

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