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年間11億円!ロッキード・マーティンはコスト削減にVRを利用

2017/04/24 18:28

    VRを操作するエンジニア

    ロッキード・マーティンのエンジニアはVRを活用している

    Via Satelliteは、アプリケーション、インフラ、テクノロジー、規制といった商用衛星通信に関するビジネス情報と専門家による分析を扱う海外メディアだ。

    Via Satelliteに、ロッキード・マーティンのVR利用に関する記事が掲載された。ロッキード・マーティンでは、VRを使うことで年間1,000万ドル(11億円)ものコスト削減を実現しているという。

    ロッキード・マーティンとは

    ロッキード・マーティンのイメージ画像

    航空機、艦船、人工衛星などの設計と製造を行う

    アメリカの企業に詳しくなくても、名前くらいは聞いたことがある層が多そうなロッキード・マーティン(Lockheed Martin/ロッキード・マーチン)。

    特に航空機のイメージが強いかもしれないが、軍事用の統合情報システムやミサイル防衛システムといった情報通信ソリューションにも強い企業だ。こうしたバックグラウンドがあるからこそ、VRを活用できている面もあるだろう。

    先に挙げたシステムの例からも分かるように軍事企業であり、アメリカの軍事企業の中でもトップクラスの規模を誇る。その売上は、実に8割が軍事関連だという。

    民間航空機分野からは撤退しているが、軍用ではF-16、F-35、F-22といった第5世代ジェット戦闘機を製造している。

    VRによるコスト削減

    CHILのモーションセンシングエリア

    CHILのモーションセンシングエリア

    ロッキード・マーティンではこうした航空機部門にVRやARを使ったツールを導入しており、年間で1,000万ドル(11億円)ものコストを削減することに成功しているという。

    この金額は概算だが、エンジニアリングマネージャーのDarin Bolthouseによれば、「控えめな金額」だという。同社がVR/ARによってかなりのコストダウンに成功していることは事実のようだ。

    同社でこういった技術の研究を行っているのは、CHIL(Collaborative Human Immersive Laboratory)と呼ばれる研究施設だ。Bolthouseは2010年に、このCHILを立ち上げるのに500万ドルの費用が必要だと述べていた。

    500万ドルの初期費用によって年間1,000万ドルの継続的なコスト改善が見られるなら、これは十分なリターンと言えるだろう。

    社内では、F-22やF-35のプログラム時点でVRの利用というアイデアがあったようだ。

    Bolthouseによれば、これらのケースでは保守アプリケーションに重点が置かれていたという。CHILのツールが使われる場面は、その後に拡大している。

    VRによる変化

    特に重要なのは、3Dイメージングによる早期の修正だ。従来の方法では物理的なプロトタイプを制作する必要があった場面で、生産工程に入る前に不都合の発見と修正を行うことが可能となっている。

    これにより、時間と製造費用が節約できる。

    VRを設計に用いることは、設計の工程にCADツールを使うことの延長だという。エンジニアが使う道具は製図用紙と模型からPCとCADツールへ、そしてVRへと発展してきた。

    没入型VR環境で、エンジニアはプロトタイプの模型がその場にあるかのようにデザインレビューを進めることが可能になった。

    CHILの技術

    CHILが研究している技術は、大きく二つある。

    一つはCAVE(Cave Automatic Virtual Environment )と呼ばれる仮想環境だ。この空間では、空中に浮かぶ3Dホログラムを操作できるという。

    もう一つは、モーションキャプチャー用のボディセンサーを使う方法だ。全身にセンサーを装着して部屋に入れば、VR空間で自由にデザインを進めることができるようになっている。上の画像が、この技術で使われるモーションセンシングエリアだ。

    節約のためのVR

    Oculusマーク

    ロッキード・マーティンで使われているデバイスは、Oculus Riftのように一般に販売されているものが主だ。これほどの大企業ならば専用のデバイスを作成することもできそうだが、消費者向けのデバイスを使用することにはメリットがあるという。

    システムをオリジナルで作成するよりもコストが安いことに加え、ユーザの習得が早いという。消費者向けのデバイスはユーザが簡単に使えるように配慮されているため、使いやすいのだろう。

    「出来る限り簡単に使えるようにしたい」というBolthouseの考えに合うのはOculus Riftだったようだ。

    同社は、スペースシャトルの代替となる宇宙船「オリオン」やGPS 3衛星の製造プロセスにもVR/AR技術を利用した。VR空間で数千の部品を組み立てるシミュレーションを通して、より効率的な設計を発見できるという。

    昨年までは参加者が直接ラボを訪れる必要があったが、現在はネットワークとVRを使ってどこからでもデザインのプロセスに参加できる環境も構築された。kれにり、時間と出張費用のさらなる削減が見込まれている。

     

    VR/AR技術で夢を見るだけではなく、現実的な方法でコストダウンに利用しているロッキード・マーティン。

    消費者向けのデバイスでも、十分エンタープライズ用途に耐えるスペックがあるという証明にもなっている。業種による向き不向きはあるが、手堅く技術を活かしている先駆的な例となりそうだ。

    2017年は、計画段階を超えてVR技術を本格採用する企業も増えてくるだろう。

     

    参照元サイト名:Via Satellite
    URL:http://www.satellitetoday.com/technology/2017/04/20/lockheed-martin-cutting-costs-virtual-reality/

    参照元サイト名:Lockheed Martin
    URL:http://www.lockheedmartin.com/us.html

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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