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AppleとFacebookがリードするモバイルAR市場は、2021年までに6兆5,000億円規模に成長

2017/06/07 12:23

調査会社Digi-Capitalは、Appleが本格参入したモバイルAR市場についての市場予測を発表した。同市場は2021年までに10億ユーザー、6兆5,000億円規模となる。また、同市場の売り上げの80%が非ゲーム業界で占められる。

調査会社Digi-Capitalは、Appleが参入したモバイルAR市場についての予測を発表した。

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モバイルAR市場とは

「モバイルAR市場」とは、本メディアでも以前に報じたように、Facebook社のCEOマーク・ザッカーバーグ氏がその存在を指摘したスマホを活用したAR体験によって形成される市場を意味する。

この市場を簡潔に理解するには、以前の記事でも掲載した業界マップを見ると一目瞭然である。

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同マップの詳細な解説に関しては過去の記事を参照してほしいのだが、このマップを初めて掲載したのが2017年5月30日なので、現在では若干の修正が必要である。

周知の通り、Appleが先日モバイルAR市場に参入することを表明したので、同社は「潜在的な」プラットフォーマーから「先行する」プラットフォーマーに市場のポジションが格上げされる。この結果、FacebookとAppleが「二大プラットフォーマー」として同市場をリードすることとなる。

モバイルAR市場におけるアプリとデバイス

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以上のように大勢が一新されたモバイルAR市場に関して、調査会社Digi-Capitalは同市場を予測した報告書「Mobile Augmented Reality Report Q1 2017」を発表し、その概要を同社ブログ記事に掲載した。

同記事によると、同市場は2021年までに全世界で10億ユーザーを獲得し、600億ドル(約6兆5,000億円)規模に成長すると予想される(上のグラフ参照)。

熱狂的なユーザーが成長を支えるモバイルARアプリ

同市場の成長を支えるのは、メインユーザーと想定されるSNSユーザーおよびSNSアプリである。

先に引用した業界マップからもわかるように、同市場のアプリをけん引するのはFacebookが提供する各種SNSアプリとSnapchatのようなSNSカメラアプリである。つまり、モバイルARアプリは、まずは既存のSNSアプリにAR機能が追加されるかたちで普及・成長していくことが見込まれるのだ。

同市場を支える既存SNSユーザーは、実のところ、トレンドに敏感に反応することが知られている。以下に、そうした傾向を裏付けるデータを列挙する。

ますは、主要な既存SNSユーザーの規模は、以下のようにまとめられる。

  • FacebookのSNSアプリ「Messenger」のMAU(Monthly Active Users:月当たりの実際にログインしているユーザー数)は、12億
  • SNSアプリ「WhatsApp」のMAUも、12億
  • 画像共有アプリ「Instagram」のMAUは、7億
  • ARカメラアプリ「Snapchat」のMAUは、3億

以上のSNSユーザーは、以下のようなアプリ使用傾向が認められる。

  • WhatsAppユーザーの15%が、リリース後10週以内にアプリを使い始めた
  • Instagramユーザーの29%が、「ストーリー」機能をリリース後1年以内に使い始めた
  • Instagramユーザーの54%が、同アプリリリース後4年以内に使い始めた
  • Snapchatユーザーの45%が、同アプリリリース後4年以内に「ストーリー」機能を使い始めた

以上のデータに、iPhoneユーザーの86%にあたる7億人が1年以内にiOS10をインストールした事実を加えると、モバイルAR市場のユーザーは今後つぎつぎとリリースされるAR機能/アプリを早いサイクルで消費することが予想されるのである。

「ARスマホ」への移行は穏やかに進む

早いサイクルで消費されるアプリ市場に対して、モバイルARデバイス市場の成長はどのように予想されるのだろうか。

一般にスマホの買い替えサイクルは2年半と言われている。さらに(新型iPhoneのような)ハイエンドなスマホに買い替えるユーザーは、全体の1/3~2/3である(この数値は地域のよって異なるため幅がある)。

以上のことから、今後リリースが予想されるARに最適化された「AR Readyスマホ」への買い替えは、アプリの消費サイクルと比べたらずっと穏やかに進行するのである。

非ゲーム業界の売り上げが80%を占めるモバイルAR市場

同ブログ記事では、モバイルAR市場における売り上げの業種ごとのシェアも予想している(下の画像参照)。

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モバイルARアプリで最も有名なものと言えば「ポケモンGO」であるが、今後形成されるモバイルAR市場においては非ゲーム業界からの売り上げが80%近くを占めることになる。このシェア構成は、ゲームが大半を占めるVR市場とは対照的である。

モバイルARデータ・ビジネス

同市場の売り上げの約25%に貢献するのは、スマホ通信会社に支払われるデータ通信費である。

あらゆるアプリにAR機能が追加されることによって、スマホのデータ通信量は増加することは避けられない

通信会社は、高いデータ通信量が見込めるAR Readyスマホに対して、何らかのディスカウント・セールをするかも知れない。

eコマーズ

AR機能が追加されることによって、リアルな買い物もそのスタイルが変わってくる。買いたいモノをスマホカメラに写せば、様々な情報を得ることができるからだ。

以上のような理由から、eコマーズ業界の売り上げが同市場全体の20%を占めることになる。同業界をリードするのは、AmazonやAlibabaである。日本に限定して言えば、楽天がこの業界のキープレイヤーになるかも知れない。

モバイルAR広告

リアルとバーチャルが重なるAR機能を使えば、広告を表示する機会が増えるのは当然であろう。

AR広告の売り上げは、同市場の20%を占めると見込まれる。同業界のキープレイヤーはもちろんGoogleであるが、革新的なAR広告表示を発明するスタートアップが現れる可能性も否定できない。

モバイルARゲームの多様化

同市場におけるARゲーム業界の売り上げは10%と見込まれている。

同業界を代表する「ポケモンGO」は、大幅にアップデートされることが容易に予想される。また同業界には、多くのスタートアップが参入するだろう。

モバイルAR市場は「VR・ARの王」?

以上のようなモバイルAR市場は、既存のVR市場より大きくかつ早く成長する可能性が高い。というのも、すでにAR体験を可能とするデバイスであるスマホは、十分に普及しているからである。

また、Microsoft社のHoloLensをはじめとするAR専用デバイスで形成されると予想される「ハイエンドAR市場」は誕生までには至っていないので、モバイルAR市場こそがVR・ARテクノロジーから形成される市場のなかで最も大きくなることも予想されるのである。

進化が停滞していると言われて久しいスマホ市場であったが、モバイルAR市場の誕生によってスマホ・カルチャーは新次元に突入するとともに、ARテクノロジーがメインストリームとなる日が現実味を帯びてきたと言って間違いではないだろう。

Appleが参入したモバイルAR市場についての予測を発表した調査会社Digi-Capitalのブログ記事
http://www.digi-capital.com/news/2017/06/mobile-ar-to-top-a-billion-users-and-60-billion-by-2021/#.WTdTDcZUtPZ

調査会社Digi-Capitalが作成したモバイルAR市場に関する報告書「Mobile Augmented Reality Report Q1 2017」購入ページ
http://www.digi-capital.com/reports/#mobile-ar

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能 性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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