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知覚と認知を研究するために使われる大型運動シミュレーターの動画が公開 - VR Inside

知覚と認知を研究するために使われる大型運動シミュレーターの動画が公開

     

被験者を実際に動かすシミュレーター

大型の機械を使って本当に被験者の身体を動かす

消費者向けに販売されているVRデバイスを使えば、特別な装置を用意しなくても自宅で様々な環境を再現することができる。さらに、VRアーケードでは特殊な形状のコントローラーや可動式の座席とヘッドセットを組み合わせてより没入感の高い経験を提供している施設もある。

VRヘッドセットや関連機器が使われているのはエンターテインメント目的だけではない。人間や動物にVR空間を見せることで、脳の働きや行動に現れる変化を調べる研究にもVRデバイスは利用されている。

だが、座席のような小型の装置だけで再現できる動きには限りがある。現実に乗り物を運転するのであれば身体は傾きだけでなく加減速の影響も受けるが、一般的なシミュレーターはユーザを前後に動かしたりはしない。

より現実に近い感覚を与えるためには、動画のような大型の装置を使う方法がある。このプロトタイプは知覚や認知の研究に使用されるものだが、装置の小型化が進めば利用者を本当に振り回すようなアーケード施設が登場するかもしれない。

ケーブルを使った装置

研究用シミュレーター

テーマパークのアトラクションやゲームセンターに置かれる大型のシューティングゲームなどでは、ユーザを座席ごと揺さぶるようなものがある。ゲーム内容や映像の変化に合わせて身体を動かすようにすることで、本当にその世界に入り込んだような感覚を与えることが可能だ。

だが、そうした装置を使って再現可能な動きには限界がある。座席がその場で揺れる・傾く動きと違って、座席そのものを移動させるには広いスペースが必要だ。当然、そうした施設の開発にかかるコストも大きくなってしまう。

この装置もかなり大掛かりなものだが、研究用途だからこそ実現したという面もあるだろう。

装置の仕組み

シミュレーターには8本のケーブルが使われており、それぞれのケーブルを動かすための強力なモーターが用意されている。モーターの力を合計すると、473仏馬力になるという。

人間が乗り込む部分には、カーボンファイバー製の柱を組み合わせた檻のような構造が作られている。この柱は、このマシンのために特別に用意されたものだということだ。激しく揺り動かされることで大きな力がかかるため、乗り込んだユーザを危険に晒すことがないように強度の高い素材を使用したものだろう。

実際に、映像では結構な勢いで人間を載せた装置を動かしている。

シミュレーターの可動範囲は5メートル×8メートル×5メートルに及ぶ。三次元的に激しく動かした場合の身体の反応を観察することも、ユーザが気づかないほどゆっくりと移動させることも可能だ。

装置の安全性

VR技術を使ったシミュレーションのメリットとして安全性が挙げられることも多い。実際に身体を動かす方法と異なり、バーチャル空間で失敗しても怪我をすることはないので実験や繰り返しの練習にシミュレーターを使うのは有効と言えるだろう。

だが、この装置のように本当にユーザを振り回すとなると機械のトラブルが大きな事故に繋がってしまう可能性もある。そこで、開発者たちはハードとソフトの両面から対策を行っている。

まずハード面では、装置を安全な構造にすることだ。

大きく動いても放り出されることがないよう、利用者が座る座席にはシートベルトが取り付けられている。ケーブルやキャビン部分の柱には強力なモーターに見合う強度の高いものが採用されており、切断や崩壊の可能性が低い。

次にソフト面でも、搭乗者の安全性が考慮されている。8本のケーブルに繋がるモーターはコンピュータによって制御されているが、プログラムに誤りがあれば暴走してしまうかもしれない。もしエラーがあったとしても突然ソフトウェアがクラッシュすることがないように、装置を開発した科学者自身がソフトウェアも構築しているという。

乗り物の開発と感覚の研究

フロントガラスに情報がAR表示される

未来の自動車ではフロントガラスに情報がAR表示される?

乗り物の開発

この装置の利用が期待されている分野としては、自動車や飛行機といった乗り物の開発がある。前後や上下にもユーザを動かすことができる装置を使うことで、ドライビングシミュレーターやフライトシミュレーターはよりリアルなものになる。

これまでのシミュレーターでは得られなかったフィードバックを得ることができるようになり、開発が加速するかもしれない。

感覚の研究

映像の後半では搭乗者がVRヘッドセットを付けている様子も見られる。VR技術とこのシミュレーターを利用すれば、人間の平衡感覚がどのように生じているのかを神経科学的に調査することもできる。

研究用途でも、従来の方法では調べるのが難しかった人間の反応に関する調査を進めるために使うことができそうだ。

非常にシンプルな構造のシミュレーターではあるが、動きに関するシミュレーターの新しい基準となっていくことも考えられる。

 

参照元サイト名:YouTube
URL:https://www.youtube.com/watch?v=CSl_-WrrDAw

参照元サイト名:VR Room
URL:https://www.vrroom.buzz/vr-news/products/motion-simulator-making-vr-feel-real

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。