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VRによるロボットの遠隔操作が可能に!工場や医療現場など長時間使えるHMD「TransRay」開発へ!

2018年10月17日(水)凸版印刷株式会社はVRを活用したロボットの遠隔操作用途に向け、ライトフィールド技術を用いたヘッドマウントディスプレイモジュール「TransRay」と、3Dセンサーで撮影された3次元シーンをライトフィールド情報へリアルタイムに変換する「描画エンジン」を開発したと発表しました。


「TransRay」とは

© Toppan Printing Co., Ltd.

「TransRay」は、VRを活用したロボットの遠隔操作用途に向け3次元空間における視覚情報を、空間中を伝わる光線の情報として再現した技術を用いた新しいヘッドマウントディスプレイモジュールです。

ヘッドマウントディスプレイ特有の酔いや疲労の軽減効果があるとされていて、長時間使用が想定される工場や医療現場での活用が期待されています。

さらに効果検証として、大阪大学大学院医学部 感覚機能形成学教室 不二門尚教授との共同研究において、医学的な効果が証明され、2018年9月に開催された第54回「日本眼光学学会」でも発表されました。

「TransRay」を活用したロボット遠隔操作のデモとモックアップは、10月17日(水)から21日(日)に東京ビッグサイトで開催されている国際的なロボットの競技会と展示会「World Robot Summit 2018」の凸版印刷ブース(東6 ホール E-06)にて展示されています。

「TransRay」開発の背景

VRやMRを活用したゲームやアトラクションなどが普及してヘッドマウントディスプレイも盛んに使用されるようになった現在。

VR関連のヘッドセットの出荷台数は、2020年に3500万台、2022年には7000万台近くになると見込まれており、「インダストリー4.0」が提唱されて、製造分野での生産性や安全性の向上が求められるなか、ロボットや建機などを遠隔操作するニーズも高まっています。

仮想空間と現実空間を相互にリンクさせるサイバーフィジカルシステムとして、ヘッドマウントディスプレイの産業用途への応用が期待されていますが、従来のヘッドマウントディスプレイでは、長くVR映像を視聴していると特有の酔いや疲労を引き起こすために、長時間の利用ができないという問題点があります。その問題点を解決するために開発されたのが「TransRay」です。

インダストリー4.0とは

2011年にドイツ工学アカデミーが発表したドイツ政府が推進する製造業のデジタル化・コンピューター化を目指すコンセプト、国家戦略的プロジェクト。

生産工程や流通工程のデジタル化により、生産や流通の自動化、バーチャル化を大幅に高めることで、生産コストと流通コストを極小化し、生産性を向上させることを主眼に提唱されている。



従来のヘッドマウントディスプレイの問題点

© Toppan Printing Co., Ltd.

人間が立体を視認するためには、両眼視差による奥行き知覚と単眼のピント調節による奥行き知覚の両方を統合して認識する必要があります。

従来のヘッドマウントディスプレイは両眼視差による奥行き知覚のみ対応しており、ピント調整による奥行き知覚には対応できていないために両方の視覚特性の間で差異が発生し、これが酔いや疲労の大きな要因の一つになっています。

今回開発された「TransRay」の場合

© Toppan Printing Co., Ltd.

今回凸版印刷が開発した単眼のピント調節による奥行き知覚にも対応したヘッドマウントディスプレイモジュールは、みごとにこの問題を解決しています。

ライトフィールド技術が活用され、画像表示装置と画像処理を組み合わせ、ピント調節の情報を伝達できる特殊なディスプレイを実現。

対象空間の光線情報をリアルタイムに表示させることでピント調節による奥行き知覚に対応できるようになりました。

これにより、自然な見え方に近くなり、酔いや疲労の軽減に期待ができます。

さらに大阪大学大学院医学部 感覚機能形成学教室 不二門 尚教授と凸版印刷の共同研究によって、「TransRay」を使用した場合、従来のヘッドマウントディスプレイでは反応しなかったピントの調節機能が両眼視差と連動して反応し、さらに単眼においてもピントの調節反応が出る、ということが医学的に証明されました。

ライトフィールド技術

ライトフィールドは光線空間とも呼ばれ、3次元空間における視覚情報を、空間中を伝わる光線の情報として再現したものです。ライトフィールド技術の応用としては、撮影後に任意の焦点画像を作り出すライトフィールドカメラや裸眼立体ディスプレイなどがあります。

引用:プレスリリース

今後の目標

凸版印刷社では、ロボットや建機メーカーをはじめとした連携先を募り協業を図りながら「TransRay」の研究開発が進められており、各種センサーとの連動やセンサーからの情報の可視化、AIとの連携など、より効率的なロボット遠隔操作の実現に向けた開発が行われ、2020年度の実用化を目指しています。

「World Robot Summit 2018」概要

経済産業省とNEDOが主催するロボットの競技会と展示会の国際大会です。

2020年の本大会開催に向け、2018年は「東京大会」として開催されます。

会期 2018年10月17日(水)~21日(日) 10:00~17:00
会場 東京ビッグサイト 東 6・7・8ホール
〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1
入場料 無料(登録制)
主催 経済産業省、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
公式サイト World Robot Summit 2018 公式サイト

まとめ

HMDを着用したことのある方なら、特有の酔いや疲労を感じた経験があるのではないでしょうか。

長時間の利用が身体に負担というのはVRの弱点で、特に工場や医療現場などでの利用者にとっては特に大きな問題だったと思います。

その問題点に着目して開発された「TransRay」と描画エンジンは、酔いや疲労の軽減効果があると医学的にも証明されたとのことで安心感を覚えます。

長時間の使用が想定される工場や医療現場での活用をぜひ期待したいですね。

ソース:「TransRay」と「描画エンジン」開発に関するプレスリリース[PR Times]










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