AR技術と5Gで文化財の新たな鑑賞体験を提案!国宝『聖徳太子絵伝』を自宅でも鑑賞できる
2020/09/22 18:00

東京国立博物館、文化財活用センターとKDDI株式会社は、5G〈第5世代移動通信システム〉やARなどの先端技術を活用して文化財の魅力を引き出すことで、文化財の保護に加えて新たな鑑賞体験を提案する共同研究プロジェクトを2019年9月に発足しています。
そのプロジェクト第1弾として、「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』ARでたどる聖徳太子の生涯」 (以下 本コンテンツ) を、2020年9月29日から2020年10月25日の期間、東京国立博物館 法隆寺宝物館 (上野公園) にて開催します。
プロジェクト第1弾「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』ARでたどる聖徳太子の生涯」

▲「5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』」体験イメージ
本コンテンツでは、1面あたり18億画素の高精細画像と5Gの高速大容量通信技術やAR技術を組み合わせることで、かつて奈良・法隆寺の東院伽藍 (とういんがらん) に位置する絵殿の内壁にはめこまれていた東京国立博物館所蔵の国宝『聖徳太子絵伝』の魅力の新たな鑑賞体験が提供されます。
1069年に絵師・秦致貞 (はたのちてい) によって描かれた国宝『聖徳太子絵伝』は、聖徳太子の生涯を描く絵伝のなかで最も古く、「36人の子どもの話を記憶する」「憲法十七条をつくる」などの太子にまつわる58の事蹟 (エピソード) が10面に描かれています。
現在は、東京国立博物館が所蔵している大変貴重な作品ですが、長い年月によっていたみが生じ、展示ケース越しでは細かい描写を鑑賞することが困難となっています。
また、作品保存の観点から、年に1カ月ほどの限られた期間しか展示されません。
東京国立博物館では、2018年と2019年に、高精細画像を用いた「8Kで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』」を公開し、絵伝本来の魅力を伝えています。

▲国宝『聖徳太子絵伝』全図 (10面)
原本:秦致貞筆 平安時代・延久元年 (1069) 綾本著色/10面 東京国立博物館蔵
本プロジェクトにより、1面あたり18億画素という高精細・大容量画像やARを用いて制作した『聖徳太子絵伝』コンテンツが、5GやMECという高速低遅延な通信を活用することで、ストレスなく、より分かりやすく鑑賞することが可能となりました。

▲5GとMECを活用した通信システム構成イメージ
さらに、コロナ禍でも多くの方に鑑賞していただくため、自宅で『聖徳太子絵伝』を楽しめる「国宝『聖徳太子絵伝』 AR at HOME」や、会場をバーチャル体験できる「国宝『聖徳太子絵伝』3Dビュー/VR at HOME」も提供されます。
※本コンテンツは、2018年に文化財活用センターとNHK エデュケーショナルが制作した「8Kで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』」をもとにつくられています。
※本コンテンツでは原寸大の複製グラフィック (10面) が展示されています。
コンテンツ実施内容
今回の鑑賞コンテンツでは、「絵伝」1面あたり18億画素という高精細・大容量画像 (撮影: NHK エデュケーショナル) が使用されています。
法隆寺宝物館内に設置したKDDIの5G基地局を介し、画像が保管されているMECサーバーと、5Gスマートフォンを繋ぐことで、超高速・低遅延を実現しています。
5Gスマートフォン、ARグラスに高精細・大容量画像が瞬時に鮮明に表示され、ストレスのない自然な鑑賞体験が提供されています。
さらに、ARグラス「NrealLight」では、東京国立博物館の研究員が監修し、分かりやすく作成したアニメーションを通じて、直観的で新しい文化財鑑賞体験を実現しています。
「魔法のグラス=NrealLight」で直観的に鑑賞
ARグラス「NrealLight」を「魔法のグラス」として、鑑賞に用います。
会場に設置されている原寸大の「絵伝」複製画パネルの前で「魔法のグラス」をかけると、聖徳太子の生涯をたどる代表的な15のエピソードについて、アニメーションや分かりやすい解説付きで鑑賞できます。
アニメーションに使われているイラストは、東京国立博物館の研究員が監修し、分かりやすい形で作画されています。

▲魔法のグラス

▲アニメーションで可視化された研究員の研究成果を「魔法のグラス」で追体験
「魔法のルーペ」で細部まで鑑賞
5Gスマートフォンを「魔法のルーペ」として複製画パネルにかざすと、スマートフォン画面にパネルとぴったり重なって高精細画像が表示されます。
58のエピソードから鑑賞したいものを選択することができ、解説とナレーションにより「絵伝」をさらに深く知ることができます。
1面あたり18億画素の高精細・大容量画像が5Gによりスムーズに拡大縮小でき、肉眼では見ることが難しい繊細ば部分まで鑑賞することが可能です。
5G スマートフォンには、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社が開発した「Xperia 1 II」が使用され、21:9シネマワイド (TM) /4K HDR対応有機EL ディスプレイにより、国宝『聖徳太子絵伝』の高精細・大容量画像を鮮やかに表示します。

▲魔法のルーペ

▲ARにより複製画に高精細な「絵伝」画像が重畳

▲Xperia 1 II で『聖徳太子絵伝』を拡大したイメージ
※開発協力: Mawari Inc. (魔法のグラス)、株式会社Synamon (魔法のルーペ)
自宅で『聖徳太子絵伝』鑑賞体験の実施内容
国宝『聖徳太子絵伝』AR at HOME ~おうちに国宝がやってくる!~
スマートフォンやタブレットをかざすと会場のARミニチュアが現れます。
また、「絵伝」のパネルをタッチすると、高精細AR「絵伝」が眼前に現れ、「魔法のグラス」で見られる15エピソードを自宅で鑑賞することが可能となっています。

▲「国宝『聖徳太子絵伝』AR at HOME」利用イメージ
VR at HOME~おうちで会場をバーチャル体験~
スマートフォンやタブレット、PCで会場をバーチャル体験できるコンテンツ。
会場内を自由に移動し、「魔法のグラス」のコンテンツ15エピソードを鑑賞することが可能です。
auスマートパスプレミアム会員向けに先行公開も実施されます。

▲「国宝『聖徳太子絵伝』3Dビュー/VR at HOME」利用イメージ
開催概要
名称:5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』ARでたどる聖徳太子の生涯
会期:2020年9月29日 (火)~2020年10月25日 (日)
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで、会期中の金曜・土曜は21:00まで開館)
※入館とコンテンツ体験の両方にオンラインによる事前予約 (日時指定券) が必要です
休館日:月曜日
会場:東京国立博物館 法隆寺宝物館 (東京都台東区上野公園13-9)
観覧料金:総合文化展観覧料でご覧いただけます。
観覧方法:入館とコンテンツ体験の両方にオンラインによる事前予約 (日時指定券) が必要です。 ※9月25日(金)12:00より事前予約開始
主催:東京国立博物館、文化財活用センター、KDDI
協力:NHKエデュケーショナル
詳細・事前予約:5Gで文化財 国宝『聖徳太子絵伝』 公式サイト
まとめ
国宝級の文化財はなかなか見る機会がない、貴重なもの。
それを5GとARで間近に見られるのは大変うれしいですね。
「AR at HOME ~おうちに国宝がやってくる!~」で、自宅からも国宝の鑑賞が可能ですが、会場で「魔法のグラス」や「魔法のルーペ」を使った体験がしてみたいです。
ソース:KDDIニュースリリース

VR・AR・MRからVTuberまでXRに関連して最新情報を配信します。