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Virtual SelfプラグインでVive Trackerが全身をトラッキングするセンサーになる

Virtual Self対応を伝えるトレーラー
Virtual Self対応を伝えるトレーラー

Virtual Self対応を伝えるトレーラー

今年の初め、HTCがVRコンテンツやプラグインを開発するデベロッパーへの販売を開始したVive Tracker。あらゆるものをトラッキングに対応させてしまうこのデバイスを手に入れたデベロッパーたちは、発想の赴くまま、開発本能に従って様々な利用例を公開してきた。

本物の野球のバットやテニスのラケットをコントローラーとして使うというベーシックなもの、プレイヤー自身に取り付けることで全身のトラッキングを可能にするもの、天井のシーリングファンにVive Trackerを取り付けて敵キャラクターにしてしまうものまである。

ゲーム開発会社のCloudGate Studioも、デベロッパーとしてVive Trackerを手に入れた。彼らが今目指しているのは、Vive Trackerを使って全身のトラッキングを可能にするプラグイン「Virtual Self」の開発だ。

Vive Trackerを使った全身トラッキング

彼らが初期に公開したデモでは、Vive Trackerをユーザの足に取り付けることでVRゲームの操作に「蹴り」を導入していた。デモでは、迫ってくる恐竜を蹴って追い払うことができた。

Virtual Selfプラグイン

Vive Trackerをユーザの身体に直接取り付けるというアイデア自体はCloudGateのオリジナルではない。HTC自身がVive Trackerで全身のトラッキングを行うサンプルコードを公開しているほど、一般的なアイデアだ。

CloudGateの目立つ点は、全身のトラッキングを自社のVRゲームへの実装だけで終わらせないところだろう。彼らはVirtual Selfプラグインを開発し、他のデベロッパーがVive Trackerを使った全身のトラッキングを作品に組み込みやすくしようとしている。

Virtual Selfプラグインを使うことで、1つから3つのVive Trackerを使った全身のトラッキングが可能になるという。

まずは12月1日から、恐竜と戦うCloudGateのサバイバルゲーム『Island 359』でVirtual Selfの機能が利用できるようになる予定だ。このデモンストレーションの後、UnityやUnreal Engine 4でVRアプリケーションを開発するデベロッパーが利用可能なプラグインが登場する。

Vive Trackerの一般販売

Vive Trackerは今年の初めにデベロッパーへの販売を開始したが、一般消費者への販売は行われていなかった。HTCはここに来て消費者に向けてVive Trackerの販売を開始するとアナウンスしているので、CloudGateが12月からVirtual SelfをIsland 359に導入するのはこれに合わせたものと思われる。

これまでは所有者が少なかったVive Trackerだが、一般販売によって所有者や対応アプリケーションが増えていきそうだ。

Virtual Selfの工夫

アイデアから現実へ

CloudGateの創業者兼代表、Steve Bowlerは以前からVRでのフルボディトラッキングに関心を持っていたという。アイデアだけならば2015年の11月には既にあったようだ。

しかし、彼らが真剣にそのアイデアを追求するようになったのは翌年のCESでHTCがVive Trackerを発表してからだという。Vive Trackerの登場によって、ハードウェアを扱わないソフトウェアのデベロッパーによるフルボディトラッキングの実装が現実味を帯びてきたのだ。

トラッキングすべき場所

幸い、Bowlerと共同設立者のJeremy Chapmanの2人はモーションキャプチャーに関わってきた経験があった。そのため、彼らは人間の身体のどこをトラッキングすればプレイヤーの動きをVR空間に再現できるかを知っていたのだ。

数百箇所の動きをトラッキング可能なモーションキャプチャースーツを着なくても、たった6箇所を正確にトラッキングすることでリアルな動きをVRに持ち込めるという。その6箇所は、頭、両手、腰、両足だ。

トラッキングしたい6箇所のうち、頭と手はヘッドセット本体とハンドトラッキングコントローラーでトラッキングできる。Vive Trackerを使ってトラッキングしなければならないのは、腰と足だ。

Vive Trackerが少ない場合

Virtual Selfを使って理想的な6箇所のトラッキングを実現するには、Vive Trackerが3台必要になる。しかし、一般家庭に3台のVive Trackerがあるとは考えにくい。体験の質を重視するVRアーケードならば多くのTrackerを導入しているかもしれないが、全てのプレイヤーが3台のTrackerを使ってプレイできるわけではないだろう。

そこで、Virtual SelfはVive Trackerが少ない場合でも利用できるように設計された。

1つしかVive Trackerが使えないならば、腰に取り付ける。2つ使えるならば左右の足にそれぞれ取り付ける。3つあるならば腰と両足だ。

6箇所のトラッキングが不可能な場合、トラッキングできている場所の位置から推測することになる。両手両足と頭の位置が分かれば、腰の位置はある程度想像ができるだろう。

キャラクターの動作への反映

Virtual Selfはプレイヤーの動作をVRゲームの操作として使うためのプラグインであると同時に、キャラクターの動きをよりリアルにするプラグインでもある。

頭と手の位置しかトラッキングを行っていないならば、キャラクターの足の動きはゲーム内での行動に応じたものになってしまう。しかし、足や腰のトラッキングを行えばプレイヤーの動きに応じてキャラクターのポーズも代わっていく。

キャラクターをまさに自分の分身だと感じることを可能にするプラグインだ。

 

Virtual Selfを開発するCloudGate以外にも、同様にVive Trackerを使って全身のトラッキングを行おうとしているデベロッパーがいる。彼らの取り組みによって、VRゲームやソーシャルVRアプリケーションはよりリアルなものになっていくだろう。

ゲームやコミュニケーションを楽しむだけでなく、リハビリでのVR利用などでも活用が期待される技術だ。

 

参照元サイト:Venture Beat
参照元サイト:Steam


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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