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VIVE対応ワイヤレスキット「TPCAST」を試してみた。遅延もなくケーブルから解放された爽快感がある

2016/12/20 14:27

海外メディアUploadVRは、2016年12月19日の記事において、「TPCAST」のテストレビューを報じた。

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先月初めにVIVE対応ワイレレスキット「TPCAST」が発表された時、VR業界に衝撃が走った。というのも、ハイエンドVRヘッドセットはPCに接続して使うものという不本意ながら従っていた常識が覆ったからだ。

と同時に、VRメディアならびにVRユーザーにひとつの疑問が生じた。「果たして、TPCASTは本当に使えるモノなのか」と。最も気がかりなのは、ワイヤレスになることで発生するかも知れないレイテンシー(遅延時間)だ。PCの呪縛から解放されたとしても、プレイが遅延しては本末転倒である。

数多の懸念が渦巻くなか、中国で先行予約を実施したところ即日完売したという実績を携えて、TPCASTのCEOとスタッフが最有力VRメディアのひとつであるUploadVR編集部に話題のワイヤレスキットを持ち込んだのだ。見方によっては、敵陣に正面から突撃するようなものなのだから、よほどの自信があったのだろう。

そういうわけで同メディア編集部は、VR業界最大の疑問に決着をつけるべく、TPCASTのテストレビューを敢行した。

TPCASTとは何か

TPCASTを装着したVIVEを上方から見た画像

TPCASTを装着したVIVEを上方から見た画像

TPCAST business versionのバッテリー

TPCAST business versionのバッテリー

テストレビューを報告する前に、簡単にTPCASTについて振り返っておこう。

「TPCAST」とは、HTC社のVIVEに装着するアクセサリーキットで、同デバイスを使うとVR Ready PCとワイヤレスで通信が可能となる。同デバイスを開発したTPCASTは、HTC社が開催したスタートアップ支援キャンペーン「Vive X accelerator」の支援を受けた最初のスタートアップであった。つまり、同デバイスはHTC公認キットなのだ。

同デバイスは、VIVEに装着するアクセサリー本体、アクセサリーにケーブルで接続されているモバイルバッテリー、そしてワイヤレストランスミッターから構成されている(上の画像参照)。

なお、同デバイスには連続駆動時間が5時間のbusiness versionと、2時間連続駆動するconsumer versionの2種類が用意されている。駆動時間が長いbusiness versionのバッテリーは、consumer versionのそれより重く大きい。

TPCASTのセッティング

VIVEトラッキングセンサーとTPCASTトランスミッター

VIVEトラッキングセンサーとTPCASTトランスミッター

同デバイスを使うためには、まずアクセサリー本体をVIVEに装着後、さらにアクセサリーにモバイルバッテリーを接続する必要がある。アクセサリーとバッテリーはケーブルでつながっているので、バッテリーはポケット等に入れておけばプレイしやすいだろう。

トランスミッターは、上の画像にあるように赤外線トラッキングセンサーと並べて設置することが望ましい。トランスミッターのルームスケールは5m四方で、当然ながらVIVEのルームスケールの範囲内に収まっている。

トランスミッターの設置で重要なのは、向きだ。同トランスミッターの有効視野角は160°なのだが、ルームスケールの中心に対して見下ろすように上方から設置することが推奨されている。

テストプレイ結果

テストプレイは、business versionを使用し、プレイしたVRコンテンツにはGoogle Earth VR、Tilt Brush、Valva社開発のLabを使った。

テストプレイの結果、レイテンシーは全く感じられなかった。

ベンチマークテストもかねて、体操経験のあるスタッフにバク転をしながらプレイしてもらったところ、それでもレイテンシーは発生しなかった。もっとも、激しく動き過ぎると、アクセサリーがVIVEから外れることがあるので注意が必要である。

テストプレイは、さらにconsumer versionでも実施され、その結果、consumer versionでもレイテンシーが発生せず、両バージョンの違いはバッテリー駆動時間だけであることが確認できた。

装着した時の重量感はほとんどなく、使用時に熱も発生しないので、プレイヤーがいちばんに感じるのはPCから解放された爽快感である。

TPCAST CEOインタビュー

UploadVR編集部は、TPCASTのCEOであるMichael Liuへのインタビュー取材も行った(詳細は上のインタビュー動画参照)。

インタビューにおいてTPCAST開発において最も困難だったことを尋ねると、同CEOはレイテンシーの発生を抑えることが最も難しかった、と答えた。

インタビューではVive X accelerator programの話題にも触れ、同CEOのよると支援プログラムでは資金提供のほか、ワークスペースの提供、さらにはHTCとのパートナーシップやVRスタートアップ・キャピタルに関するレクチャーもあった、とのこと。

TPCASTの今後の事業展開

レイテンシーの壁を乗り越えたことを確認できたとなっては、最も気になるのはTPCASTの今後の事業展開だ。

同CEOが言うには、来年第1四半期には中国で出荷を予定しているほか、現在アメリカで販売できるように関係当局に許可申請を出している。アメリカでの出荷は「来年のどこかの時期」には可能になるようだ。なお、インタビューでは一切語っていないが、アメリカ以外の他地域での出荷は、アメリカでの出荷後、ユーザーの反応を見てから何らかのアナウンスがあるのではないか、と推察される(きっと好評価だろうが)。

同ワイヤレスキットのさらなる開発も進んでおり、将来的にはVIVE以外のVRヘッドセットにも対応を目指している。もっとも、次世代バージョンの仕様に関しては、詳細な情報は得られなかった。

現在は、VIVE対応4Kワイヤレス機能を開発中だ。4K対応に関しては、VIVEが4K画質にグレードアップしたタイミングでリリースできる程度には開発が進んでいるようだ。

VIVEがリリースされて一年が経たないうちに実用に耐えうるワイヤレスキットが開発されたことは、やはり大きな驚きである。もしかしたら、来年の今頃にはワイヤレスなのがハイエンドVRヘッドセットの標準仕様になっていても、驚くには値しないのではなかろうか。

TPCAST公式ウェブページ(中国語)
https://www.vive.com/cn/accessory/tpcast/

TPCASTのテストレビューを掲載したUploadVRの記事
http://uploadvr.com/tpcast-wireless-vive-kit-works/

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