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VR技術が内向的な人のコミュニケーションを支援する

2017/04/25 17:25

    VRヘッドセットを付けた男性

    VR技術に対してしばしば不安視される(ときには良くない面として挙げられる)のが、「VRは人間を孤立させる」ということだ。VR技術によって対面でのコミュニケーションが減少し、未来の社会では誰もが孤立した状態になるという。

    ソーシャルVRアプリの急先鋒となるFacebook Spacesも登場し、こうした言説はますます増えそうだ。

    だが、VR以前にも人と人とのコミュニケーションを変える手段は発明されてきた。それでも対面でのやり取りはなくなっていないし、むしろコミュニケーションはテクノロジーに支えられて盛んになっているように見える。

    ハフィントンポストにも、VR技術が人間同士の繋がりをより良いものに変えるとする意見が掲載された。

    VRは対面コミュニケーションの代替になる?

    Facebook Spaces

    そもそも、VR上でのコミュニケーションはリアルでのコミュニケーションの代替となるのだろうか?

    全てのVRユーザがソロプレイ専用のVRコンテンツに没頭し、リアルでのやり取りは全て失われる…という終末的世界観を前提とするのでなければ、ソーシャルVRを考慮する必要がある。

    こうしたアプリで友人と繋がることで、対面でのコミュニケーションの代わりとなり、リアルでの交流は減少するのだろうか。

    この質問に対する答えは、「条件付きで代替になるが、対面コミュニケーションを破壊するようなことはない」だ。

    手段の一つとしてのVR

    VRでのコミュニケーションはリアリティがあるが、対面でのやり取りと同じではない。その点では、手紙、電話、メール、そしてSkypeといった連絡手段と同様だ。こうした手段と同様にVRアプリは遠くはなれてしまった友人との関係を維持したり、直接会ったことがない人との繋がりを作ったりする役に立つ。

    忙しくて会えない、怪我をして外出できないといった事情があるときには、完全ではないにしてもVR上でのやり取りがコミュニケーション欲を満たしてくれるはずだ。

    このようなコミュニケーションツールは便利だが、それによって人間が孤立してしまったわけではない。状況に応じて使い分けが行われながら、VRも手段の一つになっていくだろう。

    孤独を避けるためのコミュニケーションが減少する可能性

    VRによって人間が孤立した存在になってしまうことはない。だが、ある種のコミュニケーションが失われるかもしれない。

    ハフィントンポストの記事で指摘されているのは、VRが絆を結ぶ相手の選択肢を広げる点だ。これはVRに限らずインターネットでも同様である。

    位置基盤に基づくコミュニティ

    進学や転職、引っ越しといった経験によって誰かとの関係が一気に薄くなったり、切れてしまったという経験のある読者は多いのではないだろうか。

    インターネットや文通のような手段を取らない場合、コミュニティの基盤は地域や所属に基づくものになる。同じ町に住む「ご近所さん」や、同じ学校に通う「クラスメート」といった繋がりだ。

    こうした関係にある相手とは、気軽に世間話ができる。全体が関わる行事や共通の知り合いが多く、話題に事欠かないからだ。しかし、引っ越しによってそのコミュニティから抜けたり、卒業でコミュニティそのものがなくなってしまえば解消される関係も多い。

    コミュニティ内から特に気の合う友人が見つかることもあるが、いつもそうとは限らない。上手く付き合っていく必要も、共通の話題もなくなれば他人に戻っていく。

    また、こうした関係はお互いに気を遣うことで成り立っている部分もある。関係が悪化すれば、コミュニティに居づらくなってしまうからだ。

    特に内向的な人にとって、近くにいるという理由で表面的な付き合いをするのは社会的な疲れの原因となる。

    興味に基づく関係

    インターネットを使えば、自分の住んでいる地域や立場とは無関係の相手とのコミュニケーションが可能だ。年代や性別、国籍の違う、普段の生活では絶対に顔を合わさないような相手とも繋がることができる。

    対面でのコミュニケーションに比べて消耗しにくいことも、内向的な人にとってはポイントだ。人付き合いが嫌いではなくても、消耗しやすいタイプというのは存在する。

    こういった人は、長時間に渡って人前で過ごしたり、大勢の人とパーティで次々に会話したりといった状況を好まない。代わりに、少数の本当に気の合う友人と深く付き合うことを好むのだ。

    こうしたタイプが、形式的な浅い付き合いを減らして共通の趣味や興味を持つ相手との関係にエネルギーを費やしたいと考えるのは自然なことだろう。

    テクノロジーがもたらすコミュニケーションの変化

    自撮り棒を使う男性

    VRのようなテクノロジーが普及することで、人間が孤立した存在になることはない。むしろ、距離や立場に縛られない自由なコミュニケーションが可能となりつつある。

    だが、対面でのコミュニケーションが減少することはあり得る。以前ならば否応なしに所属させられたローカルなコミュニティの力は、小さくなっていくと思われる。

    そうしたコミュニティを中心に生きている人にとっては、コミュニケーションが減少したと感じるかもしれない。それでも、誰もが自分に合った友人たちとのコミュニティを築けるようになることは前向きな変化だ。

    地域コミュニティにどっぷり浸かっている人ほど、VRのような技術で新しい繋がりを作れることによる恩恵が大きいかもしれない。新しいツールが今以上のコミュニケーションをもたらしてくれるはずだ。

    変化が問題になるとすれば、特定のコミュニティに入り込み過ぎてリアルでのコミュニケーションを蔑ろにするような層の出現が考えられる。SNSにアップするためになるべくきれいな写真を撮るのは自由だが、そのために立ち入り禁止の場所に入ったり、人の多い場所で通行を妨げて撮影したりすればマナー違反である。

    これはVRや他の技術に問題があるというよりも、利用者の意識が問題だ。

    「自分の仲間」と「それ以外の人」の両方を気にかけて行動することで、テクノロジーによって開かれたコミュニケーションを最大限に活かすことができるだろう。

     

    参照元サイト名:ハフィントンポスト
    URL:http://www.huffingtonpost.com/entry/the-myth-of-virtual-reality-and-an-isolated-society_us_58f9000be4b0de26cfeae1be

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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