Metaの新VR「Project Cambria」とは?Metaのハイエンド次世代デバイスの詳細紹介!
2022/05/23 18:00

Meta(旧Facebook)が2022年中に発売を予定している次世代VRヘッドセット「Project Cambria」。
2021年のConnect 2021にて初公開されたこのデバイスは、これまでのQuest2以上のハイエンドなVR体験を提供するものといわれています。
しかし、現時点でどのような性能なのかなど詳細についてはいまだ明かされていません。
そこで、ここでは謎が多い「Project Cambria」についてわかっている情報についてまとめました。
Project Cambriaとは?
「Project Cambria」とは、Metaが開発を進めている次世代VRヘッドセットのコードネームです。
オールインワンのスタンドアロンVRヘッドセットとして開発が進められていますが、Meta社によると
「Oculus Quest 2の後継ではなく、Oculus Quest 3でもありません。」
とOculus Questシリーズとは一線を画すものと説明されています。
大きな違いとなっているのがデバイスとしてのコンセプトです。
Quest / Quest2が比較的安価で幅広いユーザーに自由度の高いVR体験を提供するデバイスとして親しまれてきました。
対して、Project Cambriaは「最新の高度な技術をすべて搭載する、高価格帯のハイエンドデバイス」となる予定とされています。
実際の価格に関しては現時点では明らかになっていませんが、「高価格帯」になることが明言されていることに注目です。
テックメディアサイトUpload VRは、Meta社の広報担当に確認したところ「800ドル(約10万円)を大幅に超える」というコメントを得られたと報じています。
参考:Meta: Project Cambria’s Price ‘Significantly’ Higher Than $800[Upload VR]
Project Cambriaの特徴
Project Cambriaは、
「今日考えられる最先端の新しいハードウェア」
を求めるユーザー向けに開発されているモデルです。
そのため、VR体験をより快適で質の高いものにするための特徴的な機能が搭載されることになります。
現時点で判明している「Project Cambria」の特徴をまとめました。
スタンドアロンタイプのVRゴーグル
現在Meta社のVRヘッドセットはスタンドアロンタイプが中心となっており、今回のProject Cambriaもスタンドアロンタイプとして開発されていることが明らかになっています。
公開されたティザー動画にチラリと映った新デバイスの形状を見ると、コンパクトなQuest2よりもさらに小さくまとまったデザインなのが確認できます。
このコンパクトなデザインを実現できたのは、ディスプレイ部分に従来使われてきたフレネルレンズの代わりにパンケーキレンズを採用したためです。
光を何度も折りたたむことで映像が適正な見え方になるように調整できるパンケーキレンズを利用することで、小さい本体でも同じように映像を結ぶことができます。
そのため、これまで以上にコンパクトなデザインでありながら、高解像度で臨場感のあるVR体験を実現します。
カラーパススルー機能
Project Cambriaのもう一つの特徴的な機能がカラーパススルー機能です。
Quest / Quest2にも内蔵カメラを活用したパススルー機能が搭載されていました。
しかし、Questシリーズの内蔵カメラはトラッキング用のセンサーとしての意味合いが強く、パススルー画面も解像度が荒い白黒の視界にとどまっていました。
その点、Project Cambriaに搭載されるカメラはセンサー用途だけにとどまらない、高解像度のフルカラーパススルーができるとされています。
フルカラーのパススルー機能が搭載されたことによって、現実世界と同じような色彩で周囲の環境を確認することが可能です。
AR/MRヘッドセットとしても高性能
高品質なフルカラーパススルーが実現することで、バーチャルの世界と現実の世界をシームレスに融合させた複合現実体験もできるようになります。
Quest2でも主に開発者向けに実験的にMR機能が利用できましたが、Project Cambriaはより本格的なAR/MRヘッドセットとしても活用可能です。
Connect2021で公開されたプレゼンテーションでは、高品質のカラーパススルーテクノロジーを搭載した複合現実ワークスペースが公開されています。
現実世界の書斎の中にQuestのホーム画面が浮いているような環境が実現されており、ヘッドセットを取り外さなくても仮想オフィスでの操作が可能です。
フェイストラッキング
Project Cambriaにフェイストラッキング用のセンサーが内蔵されることがMeta社やザッカーバーグ氏のコメントから確認されています。
フェイストラッキングとはデバイスがユーザーの顔、人相や表情を認識して、仮想現実世界のアバターに反映させる機能です。
アバターがよりリアルになるため、VRソーシャルでの体験がより人間らしいものになることが期待されます。
アイトラッキング
フェイストラッキングとともにProject Cambriaに搭載されることが確認されているのがアイトラッキング機能です。
視線を追跡することによってアバター同士でのアイコンタクトや、視線を使った各種操作ができるようになります。
さらに、アイトラッキングで注目されているのが、ユーザーが直接見ているディスプレイの部分だけを完全にレンダリングしてパフォーマンスを最適化する「フォービエイテッド・レンダリング」が可能になるという点です。
ただ、現時点で発表されているコメント等では、アイトラッキング機能はアバター体験の向上のみに利用されることになっており、フォービエイテッド・レンダリングに関しては明らかになっていません。
Questとの互換性あり
Meta社はProject CambriaがQuestシリーズと「一線を画する」と強調するものの、新デバイスがQuestと互換性があると述べています。
Meta社は、どのレベルで互換性があるかを明確に述べてはいません。
ユーザーの間では、新しいデバイスでQuestアプリのライブラリにアクセスできることが期待されているようです。
Project Cambriaはゲーム機として開発されたものではありませんが、互換性があれば今までにリリースされたVRゲームを高性能なデバイスでプレイできるようになります。
コントローラーも一新か
Project Cambriaで進化するのは本体だけではありません。
これまでQuestコントローラーでは本体カメラがコントローラーの位置を追跡するために上部のループ状のトラッキングリングが特徴となっていました。
しかし、Project Cambriaのコントローラーにはこのトラッキングリングがありません。
そのため、これまでのMetaのVRヘッドセットのコントローラーと比較して、よりコンパクトで取り回しのしやすいコントローラーになると思われます。
Project Cambriaはどんなことができる?
Project CambriaはハイエンドなVRヘッドセットであり、ゲームや動画視聴ではQuest2以上の臨場感ある体験が可能です。
とはいえ、Meta社が想定しているProject Cambriaの主要な用途は仕事での利用となっています。
ザッカーバーグ氏は「最終的にはノートパソコンや仕事のセットアップに取って代わるものになる」としており、エンタープライズ向けデバイスであることは間違いなさそうです。
とはいえ、Meta社が現在注力しているメタバース体験も見逃せません。
Project Cambriaに搭載される
- ・フェイストラッキング
- ・アイトラッキング
を活用することにより、アバターを通したメタバース体験がより人間らしい交流をすることができるようになります。
ザッカーバーグ氏も「当社のハードウェアが最高のメタバース体験を提供する」ことになるとコメントをしていることから、メタバースでもProject Cambriaが大きな役割を果たすと推測されます。
Project CambriaのMRデバイスとしての能力から考えて、現在のHorizonメタバースのようなVR空間に独立したものではなく、現実世界とつながったメタバースの実現も期待できるかもしれません。
Project Cambriaの発売はいつ?
次に気になるのが「Project Cambria」の発売日。
Connect 2021において
「2022年中を予定している」
とされてはいるものの、残念ながら詳しい発売日時はいまだに発表されていません。
これまでにOculusブランドのVRヘッドセットは5月あるいはホリデーシーズン前の10月に発売されてきました。
そのため、Project Cambriaも5月もしくは10月の販売が予想されていました。
そんな中、マーク・ザッカーバーグ氏は2022年4月28日のFacebook投稿において、Project Cambriaについて
「今年(2022年)の後半に発売を予定している」
と発言しています。
このことから、Project Cambriaの販売時期については10月を軸に2022年後半という予想がされています。
Project Cambria概要
Project Cambriaの情報は今でもほとんどわかっておらず、Meta社は随時公開していくとしています。
そこで、推測も若干交えつつ、現時点で判明している内容についてまとめました。
・製品名:Project Cambria(仮)
・トラッキング:6DoF
・レンズ:パンケーキレンズ
・解像度:不明(Quest2(1832×1920)以上)
・コントローラー:新型コントローラー
・価格:不明(10万円以上)
まとめ
いまだに不明点が多い「Project Cambria」ですが、スタンドアロンタイプのハイエンド向けVRヘッドセットであるという点は明らかとなっています。
そのため、想定されているユースケースも、Questシリーズのような家庭用ゲームなどではなく、より高度な性能が要求されるエンタープライズ向けの業務用途が中心です。
これまでMetaは「VRの普及のため」に比較的低価格なデバイスをリリースしてきましたが、今回はすでに高価格になることが明らかにされていることも異例といえます。
Meta製品に馴染んできたユーザーには面食らうような情報の多いProject Cambriaですが、Questシリーズとの互換性があることも判明しています。
Questのアプリライブラリへアクセスすることができるので、これまでプレイしてきたものより高いクオリティでVRゲームを楽しむことが可能です。
価格が高いのは一般ユーザーのネックになるところではありますが、高品質でQuestの大ヒットゲームを楽しめるのは大きなポイントです。
Project Cambriaがこの先どのような形で私たちの前に姿を表すのか非常に楽しみですね。

XRマッチョ
筋トレとVRを愛するライター。VRでマッスルを実現できないか現在思案中。