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バーチャルなクレジットカードで支払いを行う決済システム - VR Inside

バーチャルなクレジットカードで支払いを行う決済システム

     

VR空間でクレジットカードを使う

目新しくはない決済方法

最新の技術の一つであるVR。

VRが小売業界を変える可能性があるとも言われており、VRゲームやVR動画以外の消費者向けコンテンツとしてVRを使ったショッピングアプリにも注目が集まっている。なにせ「衝動買いが増えるかもしれない」と答えた消費者も多く、商品が売れないことに悩む小売業者にとっては見逃せない技術となっている。

決済サービスを提供するWorldpayもVRに注目しており、VRから現実に戻ることなくショッピングを終えられる決済システムを開発中だ。その方法は決して目新しいものではなく、むしろ馴染み深いものとなっている。

日常の中にVR、VRの中に日常

VRデバイスを使う男性

VR技術を使った消費者向けのコンテンツも増えており、世界中でVRを体験できるスポットが増えている。専門のVRアーケードでなくとも、VRヘッドセットを活用したアトラクションを開設するテーマパークやゲームセンターも増えてきた。

VRでショッピング

VRが日常生活の中で見られるものになれば、VRで買い物をしたいと考えるユーザが出てきてもおかしくない。VRを使えば、パソコンやスマートフォンを使うオンラインショッピングよりも実店舗を訪れるのと近い感覚で買い物ができるからだ。

ただ、VRでのショッピングができるサービスはまだ少ない。もちろんVR空間にネットショップのサイトを開いて買い物をすることはできるが、本格的なVRショッピングとなると難しい。まだVR空間で支払いを行うための標準的な方法が開発されていないのだ。

バーチャルなクレジットカード

世界で利用される決済サービスを提供する企業、Worldpayは昨年450億ポンド(6兆4千億円以上)もの取引を扱った。イギリスの100大企業にも選ばれているWorldpayは、VR空間で使える決済サービスを研究している。

Worldpayがデモ映像を公開した決済方法は、VR空間から出ることなく支払いを完了させられる画期的なものだ。この決済サービスが利用されるようになれば、VR空間に開設されたショップで商品を選び、そのまま支払いを行えるようになる。

ユーザにとって便利なシステムであり、企業にとってもメリットがある。購入の流れがスムーズになることで、ユーザが購入を思い直すことが少なくなると考えられるからだ。

だが、そのシステムは多くの人にとって見慣れたものだろう。クレジットカードを専用の端末に読み込ませ、カードの暗証番号を入力するだけで支払いが完了する。

VRならではの工夫

上のデモ映像で確認できるように、支払いを行う流れはリアルで買い物をするときとほとんど変わらない。特に意味はないようだが、カードリーダからレシートが出てくるギミックまで作り込まれている。

だが、リアルを再現するだけでなくVRならではの工夫も行われている。

値札の表示

リアルの店舗で商品を購入するときには、商品に付いている値札を確認するはずだ。このデモ映像でも、VR空間でオブジェクトに値札が付けられている。

この値札で支払う金額が分かるのはもちろん、これ自体が購入のスイッチの役割も果たしている。値札を見つめることで、システムはユーザが商品を購入しようとしていると判断する。値札の上部に半円を描いて伸びていくグラフが最大になると支払い方法の選択が表示されるようだ。

このシステムであれば、どうしても値札を見ることになる。「金額を勘違いして購入してしまった」というトラブルは避けられるだろう。

クレジットカードの登録

このシステムでは、ショッピングサイトに会員登録をしてのオンラインショッピングと同様に支払い方法としてクレジットカードを登録しておくことができるようだ。ヘッドセットの内部にカードの情報を登録するのかもしれないし、Worldpayがその情報を管理することを考えているのかもしれない。

後者の方法であれば、Worldpayの決済システムを採用する複数のVR店舗で共通のカード情報を利用できる可能性がある。

暗証番号の入力

クレジットカードでの買い物をするときには、サインか暗証番号の入力を求められることが多い。VRでの買い物でも暗証番号の入力を行えるようだ。

ただ、VR空間で暗証番号を入力するのは問題がある。ユーザからは外が見えないが、第三者からはユーザの動きが見えているので暗証番号を推測されてしまう可能性がある。

そこで、WorldpayはAirPINと呼ばれる新しい技術を開発した。ユーザはバーチャルな数字のキーによって暗証番号を入力するが、各キーはきちんと並んでいない。ユーザの周りに散らばって表示されるキーをコントローラーで選ぶことになるので、ユーザの動きから入力した番号を推測することは不可能だ。

高い安全性

Worldpayの技術革新部門ディレクターNick Telford-Reedは、

「ゲーム内購入のためにクレジットカードの情報をファイルに保存するよりもこの方法の方が安全で適切です」

と語る。この方法はハッキングのリスクが低く、誤って課金してしまうことも少なくなると考えられている。

 

セキュリティへの不安も、消費者がVRでのショッピングを躊躇する理由の一つになってしまっている。今後VRアプリでのショッピングが一般化するためには、こうした技術によって安心してクレジットカードを利用できるようになることが必要だろう。

せっかくのVR空間で現実同様にカードを使うのは面倒なようにも感じられるが、手順が多くて複雑なほど誤操作による購入や衝動買いを減らすことになる。発展途上感のあるインターフェイスは改善されるとしても、システム自体はこのまま実用化されてもおかしくない。

リアルで長く使われているクレジットカード決済のシステムを再現しているので、完成度が高いのは当然だ。

 

参照元サイト名:Bloomberg
URL:https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-05-25/worldpay-looks-to-bring-real-payments-to-virtual-worlds

参照元サイト名:Venture Beat
URL:https://venturebeat.com/2017/05/25/worldpay-demos-system-for-making-payments-inside-virtual-reality-worlds/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。