VR Inside

VRの未来を創るビジネスメディア

北米のVR・ARヘルスケア市場は2025年までに51億ドル(約5600億円)規模になる - VR Inside

北米のVR・ARヘルスケア市場は2025年までに51億ドル(約5600億円)規模になる

     

海外メディアVRFocusは、北米のVR・ARヘルスケア市場に関する成長予測レポートを紹介した。

20170622-health-1

北米VR・ARヘルスケア市場の年平均成長率は2025年まで29.1%

同メディアによると、調査会社Grand View Researchは北米のVR・ARヘルスケア市場に関する成長予測レポートを発表した。同レポートは2014年から2025年までを調査対象としており、ハードウェア・ソフトウェアごとの分析、ヘルスケアアプリのカテゴリーごとの分析も行っている。

同レポートによると、2016年における北米VR・ARヘルスケア市場の規模は約5億7,000万ドル(約630億円)なのだが、2025年までに年平均成長率(CAGR)29.1%の割合で成長し、2025年には約51億ドル(約5600億円)になると予想される(トップ画像のグラフ参照)。

また、成長グラフを見るとわかるように、ヘルスケア市場においてはVR・AR市場がともに成長するものも、つねにAR市場のほうが大きいと予想されている。

ヘルスケア業界におけるVRの応用例

ヘルスケア業界におけるVRの応用例を列挙すると、以下のようになる。

  • ・外科手術のシミュレーション
  • ・多様な恐怖症の克服
  • ・慢性的な痛みのケア
  • ・EMDRへの応用
  • ・うつ病や自閉症のケア
  • ・ガン治療時の痛みのケア

EDMR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作および再処理法)とは比較的新しい心理療法で、パニック障害、恐怖症、解離性障害などへの適用される。この療法は左右に振られるセラピストの指を目で追いながら、過去の外傷体験を想起するという手続きを用いることで知られている。

以上のような応用例は、本メディアでも報じたことがある。以下にVRのヘルスケアへの応用を紹介した過去記事を列挙する。

VRが医師と患者に心臓の構造を示す
Samsung、クモ恐怖症克服アプリ「Itsy」によるVRセラピーを開始
飛行機恐怖症の開発者がフライト中の恐怖を紛らわせるために開発したゲームAscension VR
VRが慢性的な痛みをコントロールして鎮痛剤の使用を減らす可能性
VRが自閉症患者の「他者を理解する難しさ」を解く手がかりをもたらす
化学療法を受ける子供とVR

ヘルスケア業界におけるARの応用例

ヘルスケア業界におけるVRの応用例を列挙すると、以下のようになる。ARはVRに比べて歴史が浅いので、応用例はまだ少ない。

  • ・外科手術のシミュレーションとアシスト
  • ・医療教育

以上の応用例に関連した本メディアで報じた過去記事を列挙する。

より安全な外科手術へ。Touch Surgeryが医療用ARトレーニングアプリを開発
英バーミンガムシティ大学、医療用ARアプリを開発
手術のイメージ共有にHololensを活用するデモ動画が公開

北米VR・ARヘルスケア市場におけるハードウェア/ソフトウェア/サービスの内訳

20170622-health-2

2016年の北米VR・ARヘルスケア市場を、ハードウェア/ソフトウェア/サービスという3つのセグメントで分けると、上のグラフのようになる。2016年時点ではハードウェアの割合がもっとも高く67.9%を占める。

同市場におけるハードウェアとはVRヘッドセットとARグラスを意味している。つまり、医療用VRアプリを使うために購入したOculus RiftVIVE、あるいはARアプリを使うために導入したHoloLensのことを指している。

しかしながら、今後もっとも成長が予測されているセグメントはサービスである。同セグメントの年平均成長率は29.4%が見込まれている。ちなみにVR・ARヘルスケア市場におけるサービスとは、医療教育や疾病の診断等が考えられる。

VRヘルスケアアプリのカテゴリーごとの成長予測

VRヘルスケア市場に関しては、アプリカテゴリーごとの成長予測も報告されている。

同市場におけるアプリカテゴリーには、以下の5つが指摘できる。

  • ・手術のシミュレーションアプリ
  • ・疾病の診断アプリ
  • ・VRを活用した心理療法アプリ
  • ・リハビリテーションアプリ
  • ・痛みを緩和するアプリ

以上の5カテゴリーの成長予測を図示したグラフが以下である。

20170622-health-3

2025年までの調査期間を通じてつねに大きな割合を占めているのは、手術のシミュレーションアプリである。同アプリは医療現場と医療教育の両方で使われ、それぞれの質の向上と効率化に貢献することが予想されている。

次に大きい割合を占めるのが疾病の診断アプリである。同アプリは、人体をVRオブジェクトとして表示して病巣を発見するために使われる。同アプリも医療現場と医療教育の両方で活用されるだろう。

北米市場とアジア・太平洋市場の違い

VR・ARヘルスケア市場を北米に限定せず世界規模で見た場合、2016年時点で北米市場が全体の43%を占め世界最大の市場となっている。同市場は今後も高い成長率が見込まれ、引き続き世界最大規模の市場であり続けるだろう。

日本を含めたアジア・太平洋地域におけるVR・ARヘルスケア市場は、今後大きく成長すると予測される。とくにARヘルスケアアプリ市場が大きく成長し、33%の年平均成長率が見込まれている。

以上に示したようにVR・ARヘルスケア市場は、非ゲーム分野におけるもっとも有望な市場であることに間違いない。日本に限定するならば、Appleが発表したARKitを活用したARヘルスケアアプリが今年後半にも多数リリースされるであろう。

北米のVR・ARヘルスケア市場に関する成長予測レポートを紹介したVRFocusの記事
https://www.vrfocus.com/2017/06/market-in-vr-and-ar-for-healthcare-worth-5-1-billion-by-2025/

上記記事のソースとなった調査会社Grand View Researchが発表したレポートのサマリー記事
http://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/virtual-reality-vr-in-healthcare-market

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

TwitterでVRInsideをフォローしよう!

吉本幸記

Writer: 千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能 性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com