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YouTubeが360度映像の品質改善に取り組んでいる - VR Inside

YouTubeが360度映像の品質改善に取り組んでいる

     

YouTube

YouTubeには多くの360度動画がアップロードされている。Google CardboardやDaydream、そしてその他のヘッドセット用のYouTubeアプリが作られており、VR映像を提供するプロバイダーの一つとしてYouTubeが使われている。

Gear VR用のFacebook 360アプリを発表したFacebookや、360度動画の共有・販売が可能なVimeo 360の提供を始めたVimeoとの競争を生き抜くには、コンテンツの品質は重要だ。

YouTubeにアップロードされた360度動画のゆがみや解像度の低下を軽減するため、Googleは取り組みを続けている。YouTubeとDaydreamのチームが協力して作り出した新しい360度動画の描画方法がGoogleのブログで紹介された。

世界を平面で示す方法

数式

VRは異なる空間に入りこんだような体験を可能にするが、ヘッドセットに内蔵されたディスプレイそのものは平面である。これはPC用のディスプレイやスマートフォンのスクリーンと同じで、ヘッドセット内部に立体空間が用意されているわけではない。

立体を平面上で表現するためには、何かの工夫をする必要がある。写真や通常のビデオのようにある方向から見た場面だけを切り取れば三次元を二次元に落とし込むことができるが、この方法では立体感が損なわれてしまう。

立体が持つ情報を平面で表す努力をしてきたものとしては、世界地図の例がある。本来は球である地球全体を、一枚の紙に描くために変形が行われている。

世界地図には様々な図法が存在するが、種類によってメリットとデメリットがあるということを知っている読者も多いのではないだろうか。

地図全体を楕円形にして大陸の歪みを軽減したモルワイデ図法、緯線と経線が垂直に交わるので扱いやすいメルカトル図法、地図の中心から各地点までの距離が正確な正距方位図法などがあり、用途に合わせたものが使われている。

正距円筒図法

正距円筒図法

よく見かける一般的な世界地図の図法として使われているのが、正距円筒図法やメルカトル図法だ。この方法には、シンプルな長方形で全てを表現できるという利点がある。紙に印刷する場合でもディスプレイに表示する場合でも、長方形なので扱いやすい。しかし、上の画像で分かるように歪みも発生してしまう。

球の極に行くほど横に引き伸ばされてしまうのだ。その結果、北極に近いグリーンランドや、南極大陸が非常に大きく見える。

また、長方形の中で割り当てられるピクセルの数は極も赤道も同じである。赤道の方が長いので、相対的にピクセル数が少なくなる。そのため、コンテンツの目玉が多く存在する映像の赤道に当たる部分ほど解像度が低いことになってしまう。

歪みが発生することで、既存の映像圧縮技術が働きにくいという難点もある。これは通信量の増加や、ファイルサイズあたりの画質が低下することを意味する。

キューブマップ

キューブマップ

上の正距円筒図法を改善したものがキューブマップだ。この方法では、球を直接平面にするのではなく、一度立方体に変形する。その立方体を展開して平面にするのだ。

立方体への変形を行うことによって歪みを軽減できるが、やはりピクセルの密度は変化してしまう。立方体の面の中心部よりも、角に行くにしたがって多くのピクセルが割り当てられる。

ピクセル密度の差

立方体の中に球を入れた状態の断面図がこれだ。対応する立方体表面の面積は、位置によって異なる。立方体の角に近い部分(水色)の方が面の中心(オレンジ)よりも面積が広くなっている。この差によって、角の方により多くのピクセルが割かれることになる。画面の中央に注目すべき被写体があることが多いにもかかわらず、だ。

Equi-Angular Cubemap(EAC)

ピクセル密度の均一化

そこでGoogleが考えたのが、このEqui-Angular Cubemap(EAC)と呼ばれる手法だ。ピクセル密度の差を補正し、均一化する。これならば画面の端に必要以上のピクセルを使うことはなく、視界の中心の解像度を上げることができる。

EACの効果

EAC比較画像

Googleブログではより詳細な技術の紹介が行われているが、なんとなくイメージが掴めれば十分だろう。結局のところGoogleがやっているのは360度動画のデータサイズをそのままに画質を上げようという努力である。そして、その効果は小さいながらも確かに現れている。

上の画像では、VRヘッドセットで映像を表示したときの一場面を切り取っている。その画像からさらに一部を切り出したのが右の四つの画像だ。Equirectangularと書かれている二つは従来の正距円筒図法での変形によって乱れ、潰れてしまっている。GoogleのEACを採用した二つも拡大すると荒くなっていることが分かるが、それでも比較的きれいだ。

この結果はまだ完璧なものではないが、単に解像度を上げる以外で360度動画の品質を改善する方法として期待できる。GoogleはDaydreamで視聴できるVRビデオのプロバイダーとして今後もYouTubeの360度動画の品質向上に取り組んでいくだろう。これはその第一歩だ。

 

参照元サイト名:Googleブログ
URL:https://blog.google/products/google-vr/bringing-pixels-front-and-center-vr-video/

参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/youtube-improving-quality-vr-videos/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。