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マイクロソフトが次世代HoloLensのためにAIチップ開発競争へ参戦

HoloLens

マイクロソフトのMRデバイスHoloLens

マイクロソフトのHoloLensは、MR(複合現実感)デバイスの代名詞的存在だ。ライバルとしてはMetaのMeta 2などが存在するものの、完成度の高さや世界的企業が開発を手がける安心感ではHoloLensが上を行く。

現在開発者向けに販売されているHoloLensはこのMRデバイスの第一世代だ。第一世代ながら、オブジェクトが現実に存在するような感覚の強さでは他の追随を許さないデバイスとなっているHoloLens。その次世代機では、マイクロソフトが開発を進めるAIチップが搭載される予定だという。

AIは、VRと並んで現在特に期待を集めている技術だ。優れたAIチップの開発はテクノロジー企業の悲願となっており、AppleやGoogleといったIT業界の巨人たちが既に開発に邁進している。そこに、また新たな巨大勢力が加わることになる。

HoloLensとAI

遠隔地の医師が手術に参加する

遠隔地の医師が手術に参加する

プロフェッショナルが使うHoloLens

HoloLensは非常に高性能なデバイスであり、ライバルのMeta 2と比較しても高い処理能力を持つ。しかし、本体の価格も高い。

本体価格は30万円以上であり、他のVRヘッドセットやARグラスと比べても2倍以上だ。消費者向けのデバイスではない上に開発キットの段階であることを差し引いても、高価な機器と言える。

この価格の高さもあって、主な活躍の場は医師や警察官といった各分野のプロフェッショナルのところになるかもしれない。これまでに試されている例としては遠隔地の医師同士が協力した手術や、犯罪捜査への利用客室乗務員による飛行機内での接客対応などがある。

もちろんエンターテイメント用途での使用例もあるが、コスト面でVRヘッドセットやWindows Mixed Realityに対応したMRヘッドセットの方が採用しやすいだろう。

MRとAIの連携

AIを搭載したロボットや家電といったガジェットも増えてきた。これまでの家電ではあるボタンを押すとそのボタンに対応した動作をするだけだったが、AIが搭載されることで周辺の状況に応じた動作をすることが可能になる。

この特徴は、身につけて使うHoloLensにも適している。HoloLensに搭載されたカメラを使って着用者の周囲の状況を撮影し、AIが解析することでその場に応じた情報を表示してくれるようになるだろう。ジェスチャや音声での指示を理解し、対応もしてくれるはずだ。

大量の物理ボタンやマウスのように便利なポインティングデバイス持たないMRヘッドセットでは、ジェスチャや音声による指示の理解が重要となる。いくら高機能であっても、それぞれの機能を利用しにくいインターフェイスであれば使われなくなってしまうからだ。

AI用チップの開発

MediaTekのスマートフォン用チップ

スマートフォン用チップセットも高性能化が進んでいる

ICチップの開発

パソコンやスマートフォンに使用されるICチップは小型化・高性能化が進んでおり、現在のスマートフォンに搭載されているものは数年前のパソコンに匹敵するレベルの性能を持っていることもあるほどだ。人気のスマートフォンは1億台以上が販売されることになるため、新たな高性能チップを開発できれば大きな利益を得ることができる。

チップ(この場合はGPU)から利益を得ていた例としてはImagination Technologiesが適切だろう。

Imagination TechnologiesのGPUはiPhoneに採用され、世界中で利用され続けた。この巨大顧客が同社のチップを使っている以上将来は安定しているかと見えたのだが、AppleはGPUを自社開発のオリジナル品に切り替えるという。

2社間のパートナー関係を2年以内に解消するという報道があったのが今年の春だった。その反響は大きく、Imagination Technologiesの株価は急落した。その後6月には同社が買収されることが発表され、9月にはCanyon Bridge Capital Partnersなる投資企業が買い手となることが報じられている。

自社開発ICチップの威力

ICチップは非常に小さな部品に過ぎないが、そのデバイスの性能を決定づける重要なパーツだ。もしこのパーツを自社で設計・開発することができれば、ライセンス料を払う必要もなくなり、カスタマイズも行いやすい。

特にAIを動かすためには従来のチップとは異なるアーキテクチャのチップが適していると考えられている。そのため、AIが注目されるようになってAI用チップの独自開発を目指す企業が増えているのだ。

Google、Apple、そしてマイクロソフトはいずれもスマートフォンやパソコンで使用する音声アシスタントを開発しており、GoogleにはスマートスピーカーGoogle Homeもある。AIの動作に適したオリジナルチップの開発が成功すれば、アシスタントはより賢くなるはずだ。

ヘッドセットやスマートフォン、あるいはテーブルに置いたスピーカーがユーザにとって必要なことを考え、自動で行ってくれるという未来が近づいている。最初にAI用チップを開発して覇権を握るのはどの企業になるのだろうか?

 

参照元サイト:CBR

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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