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振動だけでVR酔いを緩和!ウェアラブルデバイス「OtoTech」が登場!

VRの普及に伴って、より多くの人がVR体験をする機会が増えていますが、そこで問題となりやすいのが「VR酔い」です。

VR体験中に気分が悪くなってしまった経験をした方も多いと思いますが、特殊なデバイスを頭に着けることで、VR酔いの緩和を可能にする技術が登場しました。


振動のみで酔いを軽減する「OtoTech」とは

VR体験中以外にも、例えば車や船に乗っているときなど、様々なシチュエーションで酔った状態になることがあります。

この酔いに関する原因やメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、頭部の特定の部分に振動を与えることで酔いそのものを軽減できるといいます。

新たに登場した「OtoTech」というデバイスは、この方法を用いることでVRや乗り物酔いの対策になる画期的なデバイスとして、米軍からも注目を集めています。

振動のみで酔いを緩和する?

このOtoTechの開発企業はOtolith Labsという医療系の企業で、おもに眩暈や乗り物酔い、VR酔いを和らげるウェアラブル機器を開発しています。

OtoTechはヘッドバンド型のデバイスで頭部に装着して使用しますが、ヘッドバンドから振動を発して脳に刺激を与えることで、酔いを緩和します。

振動だけで酔いを解決できるのか、と疑問に思ってしまいますが、その仕組みは以下のようになります。

振動で平衡感覚を混乱させる

VR酔いの原因は完全には明らかになっていませんが、現在おもな理由として挙げられるのが、VR空間内で行っていること(飛ぶ、ジャンプ、走る等)と、実際の身体の動き(HMDを着けて部屋の中に立っている)との間に生じるズレによる、感覚の不一致によるものです。

OtoTechはこうしたVR酔いを解決するために振動を用いますが、デバイスを装着すると、両耳の後ろに側に位置する装置が振動を発します。

この振動は「内耳神経」という、脳に繋がっている器官にまで届きます。

内耳神経は人間の平衡感覚に関わっている器官ですが、これに振動という、身体の動きとは無関係な刺激を与えます。

これが、酔いの原因となる感覚の不一致状態を混乱させることになり、それによって酔いを緩和するという仕組みです。

実験でも効果が証明

このOtoTechが実際に酔いを緩和することができるのか、実際に被験者を用いて乗り物酔いの実験が行われています。

米メディアのDefense Oneによると、酔いの緩和においてOtoTechは確かに効果があるとのことで、使用中にバランス感覚や視覚、注意力などの他の感覚に弊害が生じることも無かったとのことです。

OtoTechは未だプロトタイプのデバイスであり開発中ですが、VR酔いだけでなく様々なシチュエーションで活用できそうです。




米軍も注目、酔い止め薬は不必要に?

ちなみに、OtoTechは米軍関係者からも注目を集めており、主に車酔いの対策としての活用が期待されています。

米軍では兵士の乗り物酔いが大きな問題となっており、トラックなどの車両などで多くの兵士が乗り物酔いになるケースが多く、Naval Aerospace Medical Research Laboratoryの調査では、陸軍の兵士のうち約半分が、車両の搭乗中に乗り物酔いになったことがあるとのデータがあります。

酔い止め薬を使わずに酔いを解決できる?

このような乗り物酔いの対策として、従来は「スコポラミン」という酔い止め薬が米軍で使用されています。

ですがこれは副作用が強く、服用すると眠気を引き起こすため、作戦中の事故につながりかねません。

そのため、副作用を抑えるために「アンフェタミン」という中枢神経を刺激する薬を併用していましたが、これは麻薬の原料にもなる刺激剤であり、スコポラミン同様に使用後に副作用が伴います。

このため、薬を使わずに酔いを抑えることができるOtoTechは、米軍の頭痛の種である乗り物酔いを解決できる理想的なツールになり得ます。また、米軍を始め各国の軍隊ではトレーニング目的などでVR/ARが活用されており、VR酔いの対策としても軍事・防衛分野でのニーズがありそうです。

まとめ

VRのジェットコースターなど、VR空間で激しい動きをすると酔ってしまい、気分が悪くなった経験をした方は多いと思います。

VR酔いをした場合、まずHMDを外してから顔を洗ったり、横になったりといった対策が必要になります。またVR酔いを防ぐために、事前に軽くストレッチしたり、睡眠不足のままVR体験をしないことなどが挙げられます。

ですが、やはりコンテンツに没入したいのに気分が悪くなったせいで中断せざるを得ないのは勿体ないですよね。こうした酔いの問題を解決できる技術が新たに登場しました。

頭部に振動を与えて、平衡感覚に関連する器官を刺激することで酔いそのものを緩和するという仕組みは、シンプルながら効果的で、VRだけでなく車酔いなど、様々な場面で使用できます。

この「OtoTech」というデバイスは軍関係者からも注目を集めており、まだ開発段階ですが今後様々な分野でのニーズがありそうです。

参考サイト:Defense One









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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